【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】最後の言葉

スポンサーリンク

朝から大雪の降る日だった。

 

俺はマフラーに顔を埋め、先を急ぐ。

 

大好きな彼女と待ち合わせをしているというのに
寝坊をしてしまったのだ。

 

ズボンのポケットに入っている携帯を使い、
遅れると連絡をしようかとも思ったが、
走れば間に合うかもしれない。

 

そんなギリギリの距離だった。

 

メールを打つ時間も勿体無い。

 

俺は走る事に決めた。

 

差し掛かった踏み切り。

 

運の悪い事に踏み切りはしまっていた。

 

ここは開かずの踏み切りと言われていて、
下手をすると一時間以上待たされる。

 

冗談じゃない。

 

彼女との待ち合わせに完全に間に合わないじゃないか。

 

俺は左右を見回すと素早く踏み切りを潜った。

 

一気に駆け抜ければ轢かれる事なんてないだろう。

 

だがこの判断が間違っていた事を、
俺はすぐに思い知る事になる。

 

出口まで後もう少し……

 

その時急に回りの人々が大声を出し始めた。

 

なんだろう?
などと思う間もなく
突如襲ってきた横からの衝撃。

 

俺は何が起こったのかわからなかった。

 

気付くと俺は地面に横たわっていた。

 

周りが騒がしい。

 

だがそんな事に構ってはいられない。

 

彼女に連絡しないと……

 

周りを見回す。

 

5メートル程先にそれを見つけた。

 

俺は力を振り絞り、這って行く。

 

同時にあがる数名の甲高い悲鳴。

 

うるさい……少し静かにしてくれ。

 

俺は辿り着くと
ズボンのポケットから携帯を取り出した。

 

もうそれしか手はないので舌を使って、
ボタンを長押しする。

 

煩わしいと思っていた機能がこんな所で役に立つとは……。

 

俺は出来る限り大声で、
大好きな彼女の名前を呼んだ。

 

やがて繋がる彼女との電話。

 

「ちょっとー遅いじゃない。何やってるの?」

 

「ごめん……ドジった……」

 

「え……?何?どうしたの?
なんだか周りが騒がしくない?」

 

俺の声があまりにも弱々しかった為か、
彼女は心配になったらしい。

 

「もう……時間ないんだ。
最後にちゃんと言いたくて……」

 

「え?何?よく聞こえな――」

 

「好きだよ。愛してる……。
ごめんな……ありがとう……」

 

俺はそれだけ言うと意識を失った。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手は電車に轢かれ、

胴体がバラバラになっつぃまった。

 

大雪で傷口が凍った為に出血多量には至らず、

なんとか下半身までたどり着き、

携帯を取り出した。

 

『煩わしいと思っていた機能』

というのは、

iPhoneについている音声コントロールのこと。

 

気づかずうちに電話をかけられ煩わしいと思っていたら、

この時はその機能に助けられ、

最後にちゃんと伝えることができたようだ。

 

 

踏み切りは一気に駆け抜ければ渡れそうだけれども

この話のような悲しい事態になってしまうことも…。

 

こういう時って、

想像していたよりも電車が速かった、

なんて思ったりするんだろうなぁ。

 

踏切を無理やり渡るの、絶対ダメ!