K介のサークルは3人しかいない心霊部だった。
周りからは、悪趣味だと避けられていた。
しかし、ふだんの心霊部の活動はただ噂や心霊写真や心霊動画等を見ては、
ただただ意見交換するだけで、実際は自ら出向いたりなどはなかった。
K介達が今回卒業ということで、部長のA川が
「俺達も何か思い出を残したい」
ということで、
ホラースポット巡りが企画されたのだ。
「僕はちょっと気がしすすまない」
とK介はいうが、
もう1人のメンバーI藤が
「サンセー、あたし達も一度は、体験しなきゃ」
と多数決で負けたため仕方なくK介も参加した。
連休を利用して全国で有名なホラースポットを巡った。
自殺者がでたボロアパート
殺人事件があった廃ホテル
戦時中使われていた廃病院
封鎖されたトンネル
A川がネットで調べたホラースポットを巡った。
そこで写真や動画を撮ってまわったが、
何も写らず。心霊現象も「ソレっぽい」レベルで何にも起きなかった。
ツアーを終えてA川が
「僕は楽しかったよ。みんなは?」
とやけににやけながら聞いた。
「わたしも、いってみてよかったと思うよ」
とI藤。
K介は、
「俺も怖かったけどこうしてかえってこれてよかった」
と笑った。
【解説】
3人とも一人称が変わっているため、
3人とも取り憑かれてしまった。
A川:俺→僕
K介:僕→俺
I藤:あたし→わたし
取り憑かれたわけではなく、
ホラースポット巡りをしたことで性格が変わってしまった、
というのであればそれはそれで怖い。