『ピ…ピ…ピ……』
私の使命は時間を数えること。
数えるごとに、0へ近付く。
『ピ…ピ…ピ……』
日の昇らない早朝に、
私はあの人にこの狭い部屋へ入れられた。
同時に数え始めたみんなも、
別の部屋にいるのかな。
『ピ…ピ…ピ……』
色んな人がこの個室に入っては出ていく。
1人だったり、2人だったり、3人だったり、4人だったり。
『ピ…ピ…ピ……』
ゆらゆら揺れる不思議な部屋。
一定周期で綺麗な眺めが一望できる。
『ピ…ピ…ピ……』
もうすぐ私の役目を完遂してしまう。
早く、誰か気付いてよ。
『ピ…ピ…ピ……』
二人組の男女が部屋に入ってきた。
ダメだよ、早くここから逃げて。
『ピ…ピ…ピ……』
『ピピピピピピ』
【解説】
『私の使命は時間を数えること』
語り手は時限爆弾のタイマー。
出入りが激しい個室は観覧車。
つまり、観覧車に設置された時限爆弾のお話。
タイマーだから何もせず、
誰にも被害が出ないことを祈るしかない辛さ…。
何もできないことは本当に辛いものである。