この山の崖は景色が良くてちょっとした名所。
展望台に出ると風が気持ちいい。
先には望遠鏡が設置されている。
自分の家はあっちの方角かな、
なんて考えながら近づくと同じタイミングで一人の男が近づいてきた。
「あ、お先にどうぞ」
『ありがとうございます』
男は身を投げた。
あの時譲らなければよかった。
全身に痛みを感じながら俺は後悔している。
【解説】
名所というのは自殺の名所のこと。
譲ったがために、
先に飛び降りた人がクッションとなり
即死することができなかった。
そのため、激痛を感じながら死ぬことに…。
即死するとその後どうなるのかがわからないが、
死ぬ時は激痛を感じながら死ぬのは嫌だなぁ、と思ってしまう。
怪我の程度によっては動けないながらも生きてしまい、
結局餓死…なんてことも。
そう思うと死ぬまでの時間が本当に辛い…。