今日は中学時代の同窓会。
あれから15年経つ。
皆変わってるんだろうな。
特にオレは変わった。
中学時代のオレはデブで、
好きな女の子にも気持ち悪がられ、
女の子と話した記憶がない。
それが、今はどうだ。
高校からダイエットに励み、
大学に入る頃には太っていたなんて想像も出来ない体格になっていた。
彼女もデキた。
ダイエットが成功してから、
やけに女の子から声を掛けられることが多くなった。
実感は無いが、
それなりにイケメンらしい。
あー、早く皆に変わった姿のオレを見せたい。
見せて驚かせてやりたい。
酒を飲むだろうから、車じゃなく、今日は自転車だ。
つい浮かれてしまっていたのか、
待ち合わせの時間に遅れそうだ。
信号が青になるのを待つのももどかしい。
ん?事故でもあったのか?
あーあ、トラックに自転車が跳ねられたんだな。
トラックの運転手も可哀相に。
あれじゃ、助からないな。ドンマイ。
いけね、事故現場を野次馬してたら、
いよいよ遅刻ギリギリだ。
急がないとな。
早く皆にオレの変わった姿を見せてやりたいぜ。
同窓会会場に着いたが、
皆、特に驚きもしないどころか、
オレを無視して酒を楽しんでいた。
変わったはずなんだけどな。
【解説】
『トラックに自転車が跳ねられたんだな』
トラックに跳ねられた自転車は語り手。
語り手は幽霊(幽体離脱?)となって
同窓会会場に出向いたため、
誰も気づいてくれない。
…別の同窓会会場に行ったのに
それに語り手が気づいていない可能性も…?
でも、それはさすがに影で
「あいつ誰だよ?」
って話題になるか…