【この部屋の中では2つ嘘があります
その嘘を見抜ければ賞金獲得です】
…俺はとあるアトラクションにいる
1つ正解すると賞金50万円
2つ正解すると100万円
失敗すると
半年間時給100円で働かなければならない
まさに一攫千金を狙ったイベントに
俺は食いついた
一番最初の説明通り
嘘を見抜けばいい
簡単なことだ
しっかりと考えれば
わからないわけがない
俺は早めについたため
後5人ほどで俺の番だ
俺の前に合格者は出ていない
みんなバスに連れていかれてるからだ
きっと難問に違いない
しっかり頭を整理しないと
なんてことを考えてると
アトラクションの中から
『ふざけるな!こんなのわかるわけないだろう!』
と叫び声が聞こえる
数秒後
その男はバスに連れていかれていた
男をバスにいれると
『我々はなに一つ嘘はついていない。
なので誤解をしないように』
とスタッフが叫んでいる
当たり前の話だ
主催者側が嘘をついたら
そもそもゲームがなりたたない
きっと男の負け惜しみだ
そう思っていたら
いつしか俺の番になっていた
男に連れていかれ部屋に入る前に
『嘘がわかったら
部屋の中のマイクで答えなさい。
チャンスは1回
解答時間は10分』
とだけ言われて
部屋への扉が開かれた
部屋に入ると
看板がたっている
【この中にDさんを殺した犯人がいます。
それぞれが証言してくれていますが一人だけ嘘をついています。
その嘘を見抜いて犯人を当てたら賞金100万円。
どちらか片方正解で賞金50万円です。】
なんだ簡単なことだ
嘘つきを見つければ
自ずと答えがわかる
最悪あてずっぽうでも
問題がないわけか
さてそれぞれの証言を見よう。
A『CさんがDさんを怨んでたってのはよく聞いたなあ。
でもCさんは犯人じゃないと思うよ』
B『Aさんは人を殺すような人じゃない!
だからAさんじゃないよ』
C『BさんはDさんとあまり仲良くなかったと思うからBさんかもしれない』
なんだ簡単じゃないか。
言葉のニュアンスって大切だなあ。
俺は不正解だった。
【解説】
今回の話は回答する人によって答えが異なる。
『この部屋の中では2つ嘘があります
その嘘を見抜ければ賞金獲得です』
とあるが、
『嘘を見抜ければ』
というのが大事な言葉。
回答者が
『○と○の2つが嘘だ!』
と答えても、
主催者側は
『△と△が嘘なのです』
と答える。
仮に別の回答者が
『△と△が嘘だ!』
と答えても
主催者側は
『□と□が嘘なのです』
と答える。
つまり、
主催者側は後出ししているので、
答えが合致することはない。
それよりも、
『1つ正解すると賞金50万円
2つ正解すると100万円』
で一攫千金と呼べるだろうか…
『失敗すると
半年間時給100円で働かなければならない』
のだから額に比べてリスクが高すぎる気がするのだが…
私としては、
これで人が集まってくることの方が怖い…