引っ越ししたマンションの部屋の押入れの上段の隅っこに
人形の首だけのやつがあった。
髪はボサボサで口には何故かセロテープつけてあり、
頬にはマチ針が3本刺さっていた。
他には一枚の紙があり、そこには
「ごめんなさい助けてごめんなさい助けて」
と延々書いてあった。
まあ前の住民の悪質な悪戯なんだと思ったが、
色々忙しい事もあって一週間後に報告。
証拠の首と紙を持って行き、
実際は何も怪異はなかったのだが
つい調子に乗って嘘八百並べてみた。
首から毎晩死ねと言われるだの、
首が部屋中這い回るだの言ってたら、
担当者が滅茶苦茶ビビってすぐ前の住民の所に電話した。
そっからは前の住民(大学生の兄ちゃんだった)が
土下座して謝ってきて、
出来心だった、とか、
人形を責任もって供養します、と言って来た。
一緒に霊媒師という所に持って行かされ、
その霊媒師に事情を説明した。
なんか偉そうに
この人形はこんな仕打ちをした貴方を恨んでるとかなんとか言ってたが、
何も起きなかった事を知ってる俺にはインチキ霊媒師とすぐに判明。
散々偉そうなこと言った後に2万円請求し、
人形の首を引き取った。
翌日、公衆電話でその霊媒師に何も起きて無いこと言って、
インチキ野郎と罵ってやった。
そしたら
「貴方には危害を加えませんよ。
普通こんな首が転がってたら絶叫上げて不動産に駆け込むでしょ。
でもそれをせずそのまま放置した貴方に人形が恐怖したんです。
それに貴方に下手な事したらすぐ燃やされると人形言ってましたよ」
その返事に俺は戦慄したね。
俺、ライターオイルとライターを首のそばに置いて、
「なにかしたらすぐ燃やして供養してやる」
と言ったんだもん。
え、てことは……
【解説】
本物の霊媒師であり、
本物の呪いの人形だった。
呪いの人形にしてはお茶目だなぁ…