する事もなく暇だったのでテレビを点けてみると、
こんな特番があっていた。
『世紀の超能力者!2時間生放送スペシャル』
超能力者ねぇ、嘘臭いが観てみるか。
番組司会者の紹介の元、
件の超能力者が現れると会場は拍手喝采に包まれた。
まだ何も披露してないのに、
オーバーな反応だな。
その超能力者は長々とした己の能力の自慢話を終えると、
まずは皆さんに催眠術を掛けましょう、と言い出した。
騒めきだす会場一同。
司会者は、
私は掛かりませんよ、
とか宣っている。
番組の主役は意味深に笑うと、
両手を広げ
「あなたはだんだん眠くなる」
とベタな台詞を繰り返し始めた。
すると司会者やその他出演者、
来場客も見る見るうちに瞼を閉じていった。
なんつーヤラセだよ、まったく。
画面内に見える人間は皆寝息を立て始めたにも拘らず、
超能力は依然カメラ目線で
「眠くなる、眠くなる」
と繰り返す。
額に汗を浮かべながら、
真剣な面持ちで5分も続けている。
いつまで続ける気だよ。
アホらしい。
つまんないし、別の番組に変えるか。
【解説】
超能力者は視聴者である語り手にも
催眠術にかけようとしている。
つまり、超能力者は
語り手にまだ催眠術がかかっていないことを
スタジオにいながら知っている、ということ。
なので、この出演者は本物の超能力者。
ただ、催眠術が効かない語り手は
一体何者…?
それにしても、スタジオにいながら
視聴者のことまで把握できるとか、
私生活まで見られそうな気がして恐ろしい…