誰が言ったか知らんが、
守るもんが出来ると人間は強くなれるんだと。
そうだな。
俺も妻や我が子の為だったら死ねる。
命なんぞ惜しくはない。
誰かが言うには、
大切なものが出来ると人は弱くなるらしい。
そうだな。
俺は大切な家族を失う事が恐ろしくてたまらない。
ましてや、その大切なものに裏切られでもしたら、
家族に生涯を捧げてきた俺はどうなってしまうのだろう?
誰だっけ?
大切な何かを失ってこそ、
人は本当に強くなるとほざいた奴は。
そうだな。
俺も今はそう思う。
失うものが何も無い今、
俺は最強だ。
【解説】
前半では命より大切な家族がいたが、
後半では、その大切な家族を失ったようだ。
『その大切なものに裏切られでもしたら、
家族に生涯を捧げてきた俺はどうなってしまうのだろう?』
ということから、
語り手は家族に裏切られ、
手にかけてしまったのだろう。
大切なものを失った語り手。
失うものが何もないということは
ストップをかけるものがないということ。
本当にどんなことでもしでかしてしまうから
この語り手はこれから危険人物になってしまう可能性も…
いや、本当に家族を殺していたら
その時点で危険人物であるのだが…