昨年の初夏の頃に体験した話。
主人のバイクに二人乗りして
ドライブへ出かけた。
山頂の大きなダムを過ぎ、
トンネルへ入った。
割と長い距離で、出口は見えない。
なんとなく、
左のサイドミラーを覗き込んだ。
そこには、
少し青白い顔のやつれたおばさんの顔がうつっている。
あぁ私もずいぶん老けたものだ。
結婚してもう10年になるのだし。
それにしても、顔色が悪い。
最近仕事が忙しかったからなぁ。
そんな風に考えていた。
トンネルを過ぎ、信号で止まった。
それにしても。
やつれた自分の顔がちょっと気になる。
もう一度左のサイドミラーを覗いてみた。
左肩がうつっている。
あれ?
少しかがんで、顔がうつるように覗いてみた。
そこにはフルフェイスの白いヘルメットがうつっていた。
【解説】
語り手は
『主人のバイクに二人乗り』
していたので、ヘルメットをしていただろう。
なので、最後に書いてある
『そこにはフルフェイスの白いヘルメットがうつっていた』
が語り手である。
フルフェイスの白いヘルメットであれば、
当然顔を判別することはできない。
では、
『少し青白い顔のやつれたおばさんの顔』
は誰のものだったのだろうか?
『もう一度左のサイドミラーを覗いてみた。
左肩がうつっている。
あれ?』
とあることから、
本来だったら自分を見ることができない角度で
『少し青白い顔のやつれたおばさんの顔』
が見えたと思われる。
となると、自分ではないし、
人でもないだろう。
ただ、
『あぁ私もずいぶん老けたものだ』
と言っているから、
自分の顔と似ていた?
自分の将来の顔が映っていたということだろうか・・・
となると、悪いことの前兆のように感じるが、
『昨年の初夏の頃に体験した話』
とあるので、すぐに影響があるわけではなかった模様。
もしかしたら将来的に何か辛いことがあってやつれるかもしれないが、
将来は何が起こるかわからないもの。
・・・何か不思議なことがあると、
悪いことに結びつけようとする私の頭の中が一番怖い・・・?