【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】あいしてます

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死んだ彼女が夢に出てきた。

 

「足掻き…いがみ………姿……回し…手がさ、シワが…」

 

うまく聞き取れない。

 

残された俺達の事心配してくれてるのか?

 

大丈夫だから、安心してくれよ。

 

俺の思いが伝わったのか彼女は涙を流した。

 

彼女は数日前自分の腹を刺して自殺した。

 

出血多量で苦しんだ末の死だったらしい。

 

直前にした俺との喧嘩が原因だと思う。

 

警察に渡された俺宛の遺書には、
紛れもない彼女の文字でただ『あいしてます』とだけあった。

 

死ぬ間際に書かれたらしく、
あちこちに血がついた紙に書かれた震えた文字は、
俺の気持ちをどん底まで下げた。

 

喧嘩なんかするんじゃなかった。

 

そこまで思い詰めてたなんて気付かなかった。

 

きっかけは彼女がよそよそしくなった事だ。

 

会える時間が減ったり、
俺に隠れて誰かに電話していたり。

 

俺といてもどこか上の空で、
ちっとも楽しそうじゃなかった。

 

だから浮気を疑って口論になったのだ。

 

どれだけ後悔しても何も戻ってきはしない。

 

「私は君が好きだから…」

 

そう言って泣き崩れた姿が
火傷のように胸に焼き付いている。

 

くそ、眠くて頭が痛い。

 

彼女と死に別れてから眠気が襲い、
意識がなくなる事が増えた。

 

昔からそういう事はあったのだが、
極たまにだったし生活に支障もないので放置していた。

 

最近じゃ悪い時にはどこか知らない場所にいたりもする。

 

罪の意識による後遺症だろうか。

 

こんな事、
彼女を失った事に比べれば何でもないのだけれども。

 

涙が今度は俺の目から溢れて流れていく。

 

ふと視線を感じて振り向くと
ガラスにうつった青い顔の男が見つめていた。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『足掻き…いがみ………姿……回し…手がさ、シワが…』

という言葉。

 

あがき(足掻き)

いがみ(いがみ)

すがた(姿)

まわし(回し)

てがさ(手がさ)

しはが(シワが)

 

これを『あいしてます』の順に並べると、

あがき(足掻き)

いがみ(いがみ)

しはが(シワが)

てがさ(手がさ)

まわし(回し)

すがた(姿)

 

となり、一番右を縦読みすると

「きみがさした」

になる。

 

 

語り手は自殺だと思っている。

 

しかし、彼女は

「きみがさした」

という言葉を残している。

 

『最近じゃ悪い時にはどこか知らない場所にいたりもする』

などということから、

語り手は多重人格者であり、

彼女はそれを知っていた。

 

彼女としては語り手の人格を治そうと必死だったのだろうが、

語り手はそれがわからずケンカに。

 

その時に人格が入れ替わって別の人格の語り手が

彼女を殺してしまった。

 

 

彼女が書いた

「あいしています」と「きみがさした」は

どちらも彼女の本心。

 

さしたことを公に公表すれば

語り手捕まってしまうため、

彼女は二重のメッセージを遺した。

 

 

果たして、語り手はこの後どうなるのだろうか?

 

多重人格に気づくことができるのだろうか?

 

となんだか、続きが気になってしまう物語である。