中学の英語教師だった弟が殺された。
犯人はまだ捕まっていない。
弟は人気の教師だったらしく
多くの生徒が通夜に参列した。
学校から帰ってきた弟の遺品を整理していると
最後に作られたと思われる英単語テストを発見した。
そのテストに小さくメモってある。
「A(弟の同僚の教師)へ。
明日俺が授業に出られなかった場合このテストを行うこと。」
しかし・・・このテスト内容が少しおかしい・・・
『第○○回単語テスト』
[1]
問1「リンゴ」 答「Apple」
問2「真実」 答「Truth」
問3「島」 答「Island」
問4「自然」 答「Nature」
[2]
問5「別の」 答「Another」
問6「心」 答「Heart」
問7「伝える」 答「Tell」
[3]
問8「尋ねる」 答「Ask」
問9「不可能」 答「Impossible」
問10「動物園」 答「Zoo」
問11「種類」 答「Kind」
問12「11月」 答「November」
問13「探偵」 答「Detective」
問14「保つ」 答「Keep」
問15「~の下」 答「Under」
(配点)
[1]は143点、[2]は65点、[3]は109121181415点
問2、7、13は0点。
(注意)
・[1]、[2]、[3]の順に解け。
・頭文字を大文字にしなかったら0点。
・[3]の答えは×2する必要がある。
※計算はしなくて良い。電卓なども使う必要は無い。
なんだこの配点?
弟の奴、頭がおかしくなってたのか?
【解説】
『頭文字を大文字にしなかったら0点』
つまり、頭文字が重要。
配点である
『[1]は143点、[2]は65点、[3]は109121181415点』
は配点の数字は読む順番を示している
[1]143点
「問1、4、3の順に頭文字だけ読む」
⇒ 「ANI」
[2]65点
「問6、5の順に頭文字だけ読む」
⇒ 「HA」
[3]109121181415点
「問10、9、12、11、8、14、15の順に頭文字だけ読む」
⇒ 「ZINKAKU」
『問2、7、13は0点』
これらは読まずに飛ばす。
『[1]、[2]、[3]の順に解け』
とあるので、この順に読むと
「ANI HA ZINKAKU」
つまり、
「兄は人格」となる。
最後に
『[3]の答えは×2する必要がある』
とあるため、
「ZINKAKU(人格)」を×2(二重)することで
「二重人格」となる。
つまり、「兄は二重人格」である。
冒頭で
『中学の英語教師だった弟が殺された』
と「弟」と言っている。
となると、このテストを作った弟からすると
語り手は兄となる。
なので、語り手は二重人格であり、
そのもう一つの人格が弟を殺したのだろう。
語り手はそのことに気付いていない。
ただ、気になるのは
なぜ弟は
『明日俺が授業に出られなかった場合このテストを行うこと』
と生徒にこのテストという名の暗号を解かせようとしたのか?
『弟は人気の教師だったらしく
多くの生徒が通夜に参列した』
とあるため、
弟は生徒に人気だったことがわかる。
となると、弟はその人気を利用して暗号を解かせて
犯人である二重人格の兄に
復讐してもらおうとでも思ったのだろうか?
そうだとしたら、
この弟の考え方にも恐怖を感じてしまうのだが…