妻「私たち、来月、夫婦で雪山登山するんですよ。
無事に帰って来られるのかを占ってほしくって。」
夫「妻が、よく当たる占い師さんだって言うもんで。」
占「実は、私は人の額をじ~っと見るとその人の余命日数が見えるんです。
無事に帰って来られるのか、確実に当ててみせますよ。
まずは、ご主人から。う~ん…。…。
うんっ、大丈夫です。
というか、ご主人は100歳くらいまで長生きしますよ。
問題ないですね。」
妻「凄いわね、あなた。
じゃあ、私は?私も長生きの家系なんだけど…。」
占「う~ん…。…。んっ?
え~と、う~ん、どう言ったらいいのかなぁ…。う~ん…。」
妻「何かあるんですか?長生き出来ないとか?
ハッキリ言ってください!」
占「じゃあ、言います。奥さんの方は…。」
夫「おいおい、占い師さんを困らせるんじゃないよ。
ねえ、占い師さん。
ところで、占い師さんは、自分の余命は分かるんですか?
自分で自分のことは占えないとかも聞きますけど。」
占「いえ、私は分かります。
毎朝、鏡を見ながら自分の余命日数を確認してますから。
私も長生きなんですよ。」
夫「本当ですか?
じゃあ、念のため、今、自分の余命を見てみてくださいよ。
おい、ちょっと鏡を出してくれ。」
妻「はいっ、どうぞ。」
占「う~ん…。…。んっ?あれっ?あっ、あぁ…、そうか…。」
夫「どうでした?今朝、見てきた余命と同じでした?」
占「…ええ、同じでした。
では、奥さんを占いますね。
う~ん…。…。うん!
大丈夫。奥さんの方も長生きです。」
妻「本当?良かったわ。
じゃあ、夫婦2人で100歳まで長生きします。
ねっ、あなた。」
夫「ああ、この占い師さんは、本当によく当たりそうだ。
自信が持てました。」
占「あのぉ、ちょっと、もう一度鏡を…。
念のためもう一度自分の余命を…、…。
うん、大丈夫。良かった。」
夫「当たり前ですよ(笑)。」
【解説】
夫は雪山登山で妻を殺すつもり。
占いは妻の余命が短いことを知り、
ちょっと言い淀んでしまった。
夫としてはそこで妻に余命について話されると困るために
占い師に殺意を抱き、その結果占い師の余命が短くなった。
そのことに気づいた占い師は、
妻も長生きすると嘘をつき、
その結果夫の占い師に対する殺意が消えて
占い師の余命は戻った。
一連の占い師の言動を見た夫は、
この占い師が本当によく当たることを確信し、
雪山登山での妻の殺害が上手くいくことに自信を持った。
ただ、これらの会話で妻が不審に思い、
雪山登山に行くことをやめるかもしれない。
そうなると、夫は再度占い師に殺意を持つ可能性も?
占い師はとりあえずこの土地から逃げた方が良さそうだ。