僕とお姉ちゃんが熱を出して寝込んだときに
お父さんの方のおじいちゃんとおばあちゃんがやってきた。
おじいちゃんとおばあちゃんは
「熱は出たら下がるだけ」
「子供は邪魔」
といって
お父さんとお母さんに
「温泉に連れて行け」
といった。
お母さんは泣いて僕達を病院に連れて行ったけれど
お医者さんに
「どうしてこんなになるまで」
と怒られて泣いていた。
その後お父さんが電話で何か言っていたがお母さんが
「どうして子供たちのことを心配しないの?」
と泣いた。
その後僕達は家に帰らずお母さんのお家でゆっくり休んだ。
お父さんはその後
お母さんのおじいちゃんとおばあちゃんにいっぱい叱られた。
お母さんはその後封筒を持っていってその後
「合格だって」
とお母さんのおばあちゃんに言っていた。
そしてお父さん宛の手紙をポストに入れた。
お父さん、その後会うことができなくなった。
「お父さんはターザンごっこをしているからもう会わないのよ」
とお母さんはいった。
【解説】
夫の両親は
『子供は邪魔』
という言葉からもわかるように、
孫を毛嫌いしていた。
そして、夫は子供が嫌いかどうかはわからないが、
妻に
『どうして子供たちのことを心配しないの?』
と言われているので、
夫も子供が嫌いだったのか、
もしくは子供よりも両親に気を使っていた。
夫は子供を病院に連れて行くよりも、
自分の両親を温泉に連れていくことを最優先と考え、
その手筈を整えようとしたものの、
妻がそれを反対して、病院に連れて行った。
子供の体調を無視して、
子供を置いて温泉に行こうとする、
夫親子に嫌気がさして妻は泣いていたのだろう。
そして、お医者さんの
『どうしてこんなになるまで』
と怒られるくらいの状態だったため、
かなり危険な状態だったことがわかる。
しかし、妻が
『どうして子供たちのことを心配しないの?』
という言葉から、おそらく夫は、
「父と母が温泉に行きたがっているのに何してるんだ!
早く帰ってこい!」
とでも言ったのだろう。
もしかしたら、子供の状態を聞く前に
そのように言ったのかもしれないが、
状態を聞く前でも聞いた後でも、
どちらにせよ、子供の心配をしない夫に
愛想が尽き、電話でも妻は泣いた。
そこで、
「このまま家に帰ると子供たちが放置され、大事に至る可能性がある」
と妻は判断し、家には帰らず、妻の実家に帰って、
両親に相談をした。
その後妻の両親が夫と話をしたものの、
変わりそうにはなかったため、
離婚することを決意した。
離婚することを決めた結果、
妻がきちんと子供たちを養って行けるように
就職活動を始めた。
『封筒』は履歴書、
『合格』は企業に採用してもらった
ということだろう。
そして、その後夫宛てに手紙、
つまり離婚届を送った。
『お父さんはターザンごっこをしているからもう会わないのよ』
ターザンと言うとロープのイメージなので、
夫はその後、首吊り自殺をした、ということだろう。
離婚で自殺するくらいであれば、
もっと妻や子供に気を使ってあげればよかったのに…
と思ってしまうが、
いつもあったものがなくなってしまった時に
それが本当に大事だったと気付いてしまうこともあるだろう。
両親のご機嫌取りが一番大事だと思っていた夫は、
妻と子供と別れることにより、
何が一番大事だったのかを思い知らされ、
それがもう二度と戻ってこない現実を直視できず、
自殺してしまった、ということだろうか。