おじさん個人のタクシードライバーやってるんだけどさ、
車はプリウスね、燃費いいから。
昨晩、○○駅でまってたら、
みんな黒のスーツ来てる4人組が乗り込んできたんだわ。
しかも、みんな顔が暗いの。
4人もいりゃぁ盛り上がるだろーが。
挙げ句、4人とも後部座席に乗ろうとするんだから。
全く、お客さん一人は助手席に乗ってくださいって言って、
渋々か分からんけど、助手席に一人座ったわ。
ほんとに渋々か、なんてわからんよ、
だってずっと真顔なんだもの。
気持ち悪。
助手席にいた奴はシートベルトもしないわ、
ずーっとこっちの方向いてるわで目も合わせられんかった。
車のなかは?ずーっと静かだったね、
プリウスのエンジン音だけだったよ。
っていっても、プリウスはめちゃくちゃ静かだからね。
君らも買うといいよ。
そうこうしてるうちに、目的地についた。
4人組は結局最後まで一言もしゃべらず出ていったよ。全く。
【解説】
『車のなかは?ずーっと静かだったね、
プリウスのエンジン音だけだったよ』
プリウスの助手席は、座席の重みを感知して
シートベルトをしていなければ警告音が鳴り続ける。
そのため、エンジン音だけというのはおかしい。
助手席の人に質量がないということになる。
なので、この4人組は
この世の者ではないと思われる。
そして、
『4人組は結局最後まで一言もしゃべらず出ていったよ』
4人組は目的地を言っていないのに
なぜか目的地についている。
タクシーの目的地は最初から「あの世」と決まっていたから?
運転手は知らずに誘導したのか、
それとも「あの世」への誘導人だったのか…
ただ、シートベルトをつけていないことを注意していないから、
この運転手もこの世の者かは怪しいところ。
助手席の乗客がシートベルトをしていないと
罰金や違反点数をつけられたりするから
運転手はシートベルトにかなり気を遣うと思うのだが…
なんにしても
『だってずっと真顔なんだもの』
『ずーっとこっちの方向いてるわで目も合わせられんかった』
正直こんな状況は怖すぎて
想像するのも嫌になってしまう…