最近家にあるものが一人でに消えていく。
この前は私物が、その前は置物が、そして最近はお金が。
流石に気味が悪くなり、
ある日玄関や窓にカメラを仕掛けて出掛けた。
念のために家の中にも仕掛けておいた。
帰ってから確認しようと思ったが、
その日は多忙で帰ってくるなり用も忘れて寝てしまった。
そして明る朝。
朝一にカメラの映像を見ようとしたが、
砂嵐ばかりで全く再生される様子がない。
油断した。
おそらく真夜中の内に侵入され、
監視カメラの存在に気づかれたのだろう。
家の中からまた物がなくなっていた。
今度は私の個人情報を含んだカード。
今度ばかりはただの奇怪な出来事では済まされない。
念の為、家中をくまなく探す。
しかしどこからも紛失物が出てくる気配はない。
怒りに燃えながら、とりあえず寝室へ戻った。
鞄から携帯を取り出し、110番にかける。
プルプルという音が耳に響く。
ふと、近くでポトンと音がした。
何か落ちてきたらしい。
つられて視線が動いた。
私のカードが落ちていた。
【解説】
『ふと、近くでポトンと音がした。
何か落ちてきたらしい。』
ストーカーか泥棒が天井裏に潜んでいる。
もしくは…天井に貼りついている。
天井に貼りついている方が怖いのだが…
貼りついているとしたらそれは果たして人間なのだろうか?
警察に電話をかけようとしている時に
カードを落としてきたのだから、
通報されたくなかったように思える。
となると、おそらく人間だろう。
天井に貼りついていたのではなく、
天井裏に潜んでいた…と思いたい。
いや、それも嫌なのだが。
『最近家にあるものが一人でに消えていく』
『監視カメラの存在に気づかれたのだろう』
から毎回侵入しているわけではなく、
住みついていると考えた方が良さそう。
なので、天井裏で生活しているのだろう。
ただ、置物とかもなくなるとか…
行動の意図がよくわからない。
天井裏に置物を置いて、
少しでも見栄えを良くしたかった?
それとも
「こんなに物を盗っている私に気付いて!」
とでも言いたいのだろうか?
勝手住みついて
気付いてほしくて物を盗っていたのだとしたら
色々と危ない人である。
関わったらろくなことにならないだろう。
語り手はこの後天井を見ることになるだろうが、
一体そこには何があったのだろうか?
語り手は一体どんな目にあうのだろうか?
真相は謎である。