子供の頃じわじわ、っていうかもんもんした話。
ただの妄想かもしれない。
子供の頃、私は男だった。
男の名前があって、男子トイレに入ったりして、
「あなたは男の子だからパパとお風呂に行きなさい」
って母に言われたり。
クラスで一列に並ぶ時も男子の列。
写真もある。
中学生以前の私の写真は一切ないんだが、
アルバムの中の家族写真にそれが重ねられて入ってた。
唯一の小さい頃の私の写真。
頭を丸めて、短パンにランニングで満面の笑みを浮かべる私。
両方の頬にあるえくぼと、
右の太股にある黒い痣は彼=私である証拠だと思う。
顔立ちも同じだし。
中学生になった時、
急にセーラー服を着せられたり女として扱われたりして、
男じゃなくなった。
名前も女の子らしいのに変わってた。
なんかその辺がよくわからん。
体が女で心も多分女だし、今は女なんだと思うけど
昔男の子みたいに扱われてた理由がわからない。
家族に聞いても「さあ?」って感じで。
子供にありがちな空想というか、
記憶の改変みたいなものなんだろうけどさ
【解説】
昔は幼児期に病気などで死んでしまう子が多く、
その中でも特に男の子が死んでしまっていた。
なので、男の子が無事育つように
外見だけ女の子としてある程度の年齢まで
育てていたことがあった。
その名残があったとしたら…
これは正反対のことが行われている。
つまり、
語り手に早い内に死んでほしかった、
ということか。
ただ、男の子として扱われていたからとはいえ、
小学校で男子の列に並ぶことなんてあるだろうか…?
小学校に偽名で通わせていた、
なんて話もあるから不可能ではないのかもしれない。
名前が女の子らしいのに変わっていた、
というのも偽名で通っていたから?
何はともあれ、今は特に問題もなく、
普通に暮らせているのは良かったと言えることだろう。