僕の地方では、「スズキ」と言う都市伝説が有名です。
スズキは、手には電話(携帯などではなく、家庭用の固定電話。
コードなどには繋がっていない)を持っていて、
パタパタと走り回っている謎の男です。
そのスズキに出会う方法、
いくつかあるのですが一番有名な奴を紹介します。
8階以上のエレベーターで、1階から乗る。
最上階のボタンを押して最上階に着いたらそのまま1階へ戻る。
1階へ着いたらまた最上階へ。
これを8回繰り返す。
(8はスズキの好きな数字らしい)
この間、途中で誰かが乗ってきたりしてはだめ。
無事に誰とも遭遇せずに8回目に突入すると、
饐えた臭いがする、それはスズキと繋がった証拠。
すると、最上階しか押してないはずなのに
エレベーターは各階に勝手に止まりながら上がっていく。
途中、電話のベルが聞こえてくる。
こうなるともうキャンセルすることはできないので、
もし怖くなってやめたくなったら
電話のベルが聞こえてくるまでにエレベーターを降りること。
電話のベルは上にいくにつれて近づいて、大きく聞こえてくる。
最上階につき、ドアが開くとそこにあるのは先程までの最上階ではなく、
真っ暗な空間が広がっている。
電話のベルの音が鳴り響いていて、人が走る足音が聞こえてくる。
その部屋でスズキに出会うと、
今度は自分がスズキにならなければならない。
自分と同じように上記の儀式を成功させた人間がやってくるまで、
真っ暗な部屋で、ひたすら待ち続けなければならない。
なぜ電話を持っているか、などは不明。
それを確かめる方法は、
この儀式を行って自分がスズキになってみるしかない。
【解説】
都市伝説となっているスズキに会う方法なので、
内容としてはそのままである。
ただ、これの何が怖いかって、
「メリットが何もない」
ことだろう。
「ここに幽霊が出るらしいから行こう!」
というのは肝試しという意味があり、
恐怖を感じたいという人には
とても良いメリットとなるはずだ。
こっくりさんなんかも、
質問に答えてくれたりするため、
それに興味を持ってやる人はいるだろう。
しかし、このスズキに会う方法とは
一体何のメリットがあるのだろうか?
『無事に誰とも遭遇せずに8回目に突入すると』
とあるため、一人でやらなければならないのだろう。
それだと誰ともその状況を共有できないから、
ワクワク感もあまりなさそうだ。
しかも、この方法で
実際にスズキと出会うことができたところで、
スズキと入れ替わりで自分自身がスズキにならなければならない。
スズキの顔をチラ見し、
なぜ電話を持っているのかを知ることができるだけで、
自分自身がスズキになり、
真っ暗な部屋で電話を持たなければいけない状況になりたいなどと
考える人はいるのだろうか?
鈴木がなぜ電話を持っているか、
などというのは正直どうでも良いことだ。
しかし、真っ暗な部屋で電話を持ち続けなければいけない状況は、
確実に精神が壊れてしまうだろう。
こんなメリットも何もなく、
デメリットしかないことを誰がやるのだろうか?
…と私は思うのだが、
それでもやってみてしまう人が出てくるのが、
一番怖いところなのかと思ってしまうのである。