私は先日、結婚した。
妻は家事をよく行うし、
私の言うことには何でも従う、
よくできた女性だ。
そして、私達はマンションを買った。
最初は賃貸でもよかったのだが、
結局買うことにした。
その理由は、
そのマンションにあった。
新品同様にキレイな外見に、
高級感溢れる外装。
大体の家具だって揃っているし、
最上階の部屋なので見渡しも素晴らしい。
それに加え、その部屋は格安。
私は迷わずその部屋に決めた。
妻は少し気味悪がっていたが、
私の決めたことには反論しない。
その日の夜3時ぐらいのことだ。
「きゃははは、きゃははは」
ドタドタドタドタ・・・・・・
子供の笑い声と、
走り回る音が聞こえる。
多分、上の階の住民だろうか。
私は、子供だからと、
気にせず眠りについた。
しかし、この子供の音は毎晩、毎晩続いた。
私はとうとう我慢できなくなり
「上に文句を言いに行く!」
と言って起き上がった。
すると、いつもは私に意見しない妻が、
泣きながら私の腕を掴んで叫んだ。
「だ、だめ!絶対行っちゃだめ!」
私はしぶしぶ、行くのをやめた。
今では妻に、感謝しているよ。
【解説】
『子供の笑い声と、
走り回る音が聞こえる。
多分、上の階の住民だろうか』
とあるが、語り手が購入したマンションは
『最上階の部屋』
つまり、この子供はすでに生きてはいない存在なのだろう。
そのため、妻のおかげで文句を言いに行かずに済んだ語り手は
『今では妻に、感謝しているよ』
と言っている。
でも、この後どうなったんだろうか…
毎日子供の音に悩まされる生活…
それはそれでものすごく辛い生活なのだが…