【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】よく当たる若手占い師

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中学の同窓会。

卒業してからまだそんなに年月が経過したわけではないのに

外見がガラッと変わった奴もいる。

 

女なんか特にそうだ。

 

その中でそれが一際顕著なのがみんなの輪に囲まれている野田リカだろう。

 

あいつは確か中学時代いじめを受けてたはずだ。

 

俺もいじめてた人間の一人だ。

 

いや、リーダーと言えるだろう。

 

そんな野田リカが今や人気者だ。

 

というのも数年前から『よく当たる若手占い師』という触れ込みで

 

しばしばメディアを騒がしているからだ。

 

そんな野田リカが同窓会に来ていることに俺は少し驚いた。

 

野田リカと目があった。

 

人ごみをかき分けて近づいて来る。

 

いじめていた手前俺はどう接していいか戸惑った。

 

が、野田リカはかつての面影は一切なく気さくに話しかけてきた。

 

「松永くん(俺)、占ってあげるよ。」

 

女達は一斉に

 

「松永くんだけずるい。なんで私たちはダメなの?」

 

と不平をもらした。

 

俺はされるがままに占ってもらうことにした。

 

「松永くん昨日の朝こっち来たでしょ?私は今日来たのよ。」

 

などとさりげなく俺が話してもいないことを言い当てる。

 

「松永くんは天神に住んでるのね。私の家と近いわ。

ふ~ん……大変!!松永くん今日もう既に大切なものを失ってるわ。

心当たりは?」 

 

「確かに…今朝彼女にもらったペンダントをなくしたな。」

 

みんなの歓声が起こる。

 

誇らしげに野田リカは奥へ行ってしまった。

 

帰ろうかと言うとき野田リカに声をかけられた。

 

「私も家、天神なの。せっかくだし一緒に帰ろう?」

 

不信に思ったが、承諾した。

 

駅まで一緒で俺の家に近づくと野田リカはさらに誘いをかける。

 

「ねぇ、久しぶりにあったんだし松永くんちで飲みなおさない?」

 

「いや、俺…」

 

「同棲してる彼女?平気よ。帰らないみたいだから。」

 

「そんなこと言ってなかったぞ?」

 

「私はよく当たる占い師よ。」

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語り手と同棲している彼女が帰ってこないことを

なぜ野田リカは知っていたのだろうか?

 

『「同棲してる彼女?平気よ。帰らないみたいだから。」

「そんなこと言ってなかったぞ?」』

とのやりとりから、

彼女が帰ってこないときは

語り手に事前連絡をしていたのだろう。

 

にも関わらず、語り手は彼女から何も言われていない。

 

ということは、彼女は連絡もできない状況、

つまり予期せぬ事故にあってしまったということ。

 

そして、野田リカは

 『松永くん今日もう既に大切なものを失ってるわ』

と言っている。

 

物語の中では語り手は

『今朝彼女にもらったペンダントをなくしたな』

と言っているが、

実際はすでに彼女が死んでしまっていることを示すのだろう。

 

だから、野田リカは

『同棲してる彼女?平気よ。帰らないみたいだから。』

と言っている。

 

同棲している彼女が帰ってこないことを知っていたのは、

野田リカが彼女を殺したからではないだろうか。

 

もしかしたら、語り手の家の中で

彼女を殺したのかもしれない。

 

となると、

『久しぶりにあったんだし松永くんちで飲みなおさない?』

というのは、語り手が死んだ彼女を見て、

どんな反応を示すのか見てみたい、

と考え、その反応を見た後に殺そうとしているのではないだろうか。

 

そう考えるとかなりの悪趣味である。

 

もしくは、

『よく当たる若手占い師』

というのは、

『松永くんだけずるい。なんで私たちはダメなの?』

と他の女性たちが言っていることから、

悪いことしか当たらないのかもしれない。

 

だからこそ、昔いじめていた語り手だけを占った可能性がある。

 

しかも仮に

「言った(考えた)ことが現実になる」

からこその『よく当たる若手占い師』ということであれば…

 

野田リカが直接手を下さずとも、

"占い"をするだけで、

語り手をどん底へと突き落とすことができるだろう。

 

 

…これで『よく当たる若手占い師』であることを

信用させるためのものとしているだけで、

実際に野田リカを語り手の家に連れて行ったら、

彼女が家の中にいて、浮気騒ぎに発展するだけだったら…

 

それはそれで怖いが、

これまで考えてきたことに比べれば平和かもしれない。

 

何はともあれ、

野田リカは語り手に復讐するために、

近づいてきたのは間違いないだろう。