神主「ご存知のように、この神社は、
家族全員の願いがひとつに重なったときに、
必ずその願い事が叶うと言われています。」
4人「(お賽銭を入れて、それぞれ願い事をする)」
………
神主「さて、みなさんは、どのような願い事をされたんですか?」
ママ「ママは、愛する人の願い事が叶いますようにって願ったのよ。パパは?」
パパ「えっ?…じっ、実は、パパも、
愛する人の願い事が叶いますようにって願ったんだ…。太郎は?」
太郎「ボクは、パパの願い事が叶いますようにって願っちゃった。花子は?」
花子「わたしも、パパの願い事が叶いますようにって願っちゃった。」
パパ「みんな、ありがとう。
でも、誰も具体的なお願いをしなかったんだね。
まぁ、いいかぁ。あはははは~。」
………
パパ「ところで、神主さん。
そろそろ、競馬のレースの時間じゃ?
今日こそは万馬券を当ててみせますよ。」
神主「(ラジオをON) 好きですなぁ、ご主人。
まぁ、私も好きですけど。
でも、私の場合は、これも神事のひとつ。
神様にもお願いしたんですよ。さぁ、始まりますよ~。
…、お~っ!行けっ!行けっ!やった~、万馬券獲ったぁ!」
パパ「あ~、ダメだったぁ~。
このインチキ神社ぁ!さっき神様にお願いしたのにぃ…。
…え?…あれっ?え~っとぉ…。」
ママ「パパぁ~?神様にそんなお願いしてたのぉ~?
さっきは嘘ついたのねぇ。もぉ~、パパったらぁ~。」
5人「あはははは~、あはははは~、あはははは~。」
【解説】
ママの愛する人は神主。
太郎と花子の本当のパパも神主であった。
そのため、
神主、ママ、太郎、花子
の4人の願い事がひとつに重なったため、
神主が万馬券を獲った。
当然パパはこのことを知らず、
「ママは自分のことを愛しているし、
太郎と花子のパパは自分だ」
と思っている。
そのため、家族4人の願い事がひとつに重なったと思っていたが、
結果的にはそうではなかったために、
馬券が外れてしまい、インチキ神社と言ってしまった。
それにしても…家族全員の願い事を重ねなければ、
願い事は叶わないのに、馬券が当たることをお願いするパパ…
今回は『愛する人』『パパ』の願い事が叶うようにと、
お願いしてくれたから良いものの、
(結局は本当のパパではなかったし、愛されてもいなかったが)
他の誰も願わなそうな馬券が当たることを願うなんて…
願い事を叶えようとは思っていなかったのだろうか…