客「一番安い部屋を借りたいんだ。訳あり物件でも何でも構わないから。」
係「それでしたら、5部屋全部が空いているお勧めの中古住宅があります。
超格安で家賃○千円ですよ。」
客「そんなに安いの?で、どんなの?」
係「まず、1号室ですが、
丁度一週間前に住人が血まみれの遺体で発見されまして…。」
客「おいおい、いきなり強烈だなぁ。さすがにそれはキツイよ。2号室は?」
係「2号室は、天井に大きな穴が開いてまして、それに…。」
客「なにそれ。酷すぎるなぁ…。3号室は?」
係「3号室も、2号室と同じで天井に大きな穴が開いてまして…。」
客「うわっ。じゃあ、4号室は…って、4って数字は使わないか。」
係「いえ、4号室もあります。4号室は…。」
客「いや、4は嫌だよ。もういいよ。他の不動産屋に行くよ。
ん…、まっ、一応聞いとくけど、最後の5号室は?」
係「5号室は普通の部屋です。たまに床が抜けるくらいです。」
客「えっ?死体が見つかるとか、天井に穴とか、
幽霊とか、ポルターガイストとか…。」
係「いえっ、そういうものは一切ありません。」
客「なんだぁ。じゃあ、そこを借りるよ。空き部屋なんでしょ?」
係「ええ、丁度一週間前に空きました。」
【解説】
一般的に横並びの部屋を連想するが、
こちらの訳あり物件は縦並び、
つまり階数によって部屋番号が割り振られている。
つまり、5階にある5号室の床が抜け、
4、3、2号室(階)を突き抜けて、
1号室(階)まで転落死したため、
1号室で血まみれの遺体が発見された。
そのため、5部屋全てが空いている。
それにしても、
『床がたまに抜けるくらいです』
というのは普通の部屋なのだろうか…?
しかも、5階。
5階で床なんて抜けたらたまったもんじゃないのだが…。
客は1~4号室の話を聞いて、
感覚が麻痺している…?
とりあえず、部屋を借りるのであれば、
下見くらいはちゃんと行きましょう。