俺が仕事帰りに通っているバーのマスターは酒も好きだが、
漫画好きでいつもカウンターで漫画の話をする。
ある日バーに寄って見ると休みの日でもないのに様子がおかしい。
「マスター!いないのーー?」
するとドアが少しだけ開いて
マスターがスマンというしぐさをするとこういった。
「いやーーー!悪い!、俺としたことが材料を切らしてさ、
それで我侭聞いてもらえるかね?」
「何?」
「ここに書いてある材料買ってきてくれないかな?」
「いいけど」
メモにはこう書かれていた
「ホワイト・ラム」「コアントロー」「ライムジュース」
俺はこのメモとマスターの様子から最近強盗がこの辺で荒稼ぎをしている、
という事件を思い出しすぐに警察に駆け込んだ。
事情を聞いた警察はすぐにバーに向かって行った。
「マスター、無事で居てくれよ、しかしほんとにあの人漫画が好きだね」
【解説】
『「ホワイト・ラム」「コアントロー」「ライムジュース」』
をレシピとするカクテルは
『X-Y-Z』
名前の意味には、
XYZ がアルファベットの最後であることから、
「これ以上良いものは無い究極のカクテル」とか
「これ以上のものは作れない究極のカクテル」
という意味合いが込められているとする説がある。
他にも、同様の理由で、
「もう後が無い」「最後の」といった意味が込められているとする説もある。
(Wikipedia参照)
この『X-Y-Z』は
名作漫画「シティーハンター」の中で、
”もう後がない(ので助けてくれ)”
の意味で使われている。
マスターも語り手もお互いに漫画好きだったため、
マスターが言葉には出せない助けを求めていたことに気づくことができた。
しかし…このお店の『X-Y-Z』は
『ライムジュース』を使用していたのだろうが、
多くの『X-Y-Z』は『レモンジュース』という認識なのだが…。
語り手は常連だから関係ないか。
しかし、警察を呼んだ後は記載されていないが、
これが仮に痴話喧嘩をしていて、
それに対して助けてほしい、だとしたら…
警察に「早とちりしました…」と謝ることになるのだろうか…。
まぁ、そしたらこんな回りくどいことはしないか。