俺は会社から長い休暇をもらい、イギリスへ旅行することにした。
ホテルで寝ていると、なにやら外が騒がしい。
時間は深夜3時だ。
窓から顔を出してみると、何か事件があったらしく、
しかも犯人はホテルの2階にまだ隠れていると警察が叫んでいる。
自分がいるのは3階だ。
だが外を見る限り、2階以下のフロアはすでに警察が厳重に包囲しているようだ。
エレベーターも階段も使えそうにない。
俺は多少心配だったが、旅の疲れによる睡魔に勝てず、
犯人が早く逮捕されることを祈りながらベッドに入った。
【解説】
イギリスでは1階をグランドフロアと呼び、
2階から1stフロアと呼ぶ。
そのため、日本とは階数が1つずれてしまっている。
つまり…語り手の階に犯人がいるため、
この後語り手がどうなったのかはわからない…。
ただ…これはもしかして語り手が犯人と誤解されていないだろうか?
なんて思ってしまう。
窓から顔を出した時に
「ホテルの2階に『まだ』隠れている」
と叫んでいたとある。
他に犯人がいるとも読み取れるが、
語り手が顔を出したからこそ、
まだ隠れているとも読み取れそう。
顔を出した時点で隠れていると言えるのかは微妙なラインであるが。
仮に日本人(外国人)だからという理由で、
何か事件が起こった時に犯人扱いされたのでは
たまったもんではない。
何か事件が起こった時は仲間意識が起こるため、
最初に外から来た人を疑いたくなるのは仕方ないのかもしれないが…。
そのように考えると海外旅行に行くのが少し怖くなってしまう。
果たしてこの語り手はこの後どうなったのか?
犯人に捕まったor殺されてしまったのか、
それとも犯人とでっち上げられて捕まってしまったのか、
それは全て闇の中…。