A君と母校の中学に夜11時に侵入したのよ。
そしたらA君が
「うおー!!なんか走りたくなって来た!!」
とか言って真っ暗の校庭の中適当にトラックを走り出した。
めんどくせ~、と思いながら俺も
10秒後くらいにジョギングくらいのペースで走り出したのよ。
そしたらその10秒後くらいにA君が後ろから1週抜かしで追い付いてさ。
もの凄い勢いなわけ。
なんか燃えて来て「負けるか~~!!」と思って全力疾走したのよ。
俺50m6秒台で走るからかなり早いわけ。
だから少しずつ引き離してさ。
後ろの気配が無くなったから「よっしゃ~~!!」って思ったのよ。
そしたらさ、何かを踏んだんだよ。
何だ!?
と思ったら
「やっぱ昔みたいに走れないよな~w」
ってA君が笑いながら俺に言うんだよ。
【解説】
『そしたらさ、何かを踏んだんだよ。』
周回遅れのA君を踏んだ。
と、いうことだが少し気になる点がある。
A君が走った10秒後くらいにジョギングペースで走ったとのことだが、
その10秒後に一周差をつけれるほどトラックは短いものだろうか?
小学校ならまだしも中学校であるため、
陸上部なんかが走るトラックになっているのではないだろうか?
と、考えると200mはあるように思う。
それなのにそんな簡単に一周差をつけることができるだろうか?
語り手が10秒後に走り始めて、
A君はその10秒後に追いついてきている。
つまり大体20秒で1週の計算。
しかも、語り手はジョギングペースとはいえ、
10秒くらいは走っているのである。
となると、大体20秒くらいで、
トラック一周をしていることになる。
200mちょっとを20秒・・・。
「やっぱ昔みたいに走れないよな~w」
という人がこんなスピードで走れるとは思えない。
つまり、この追いついてきたのは
実はA君ではなかったのではなかろうか?
『もの凄い勢いなわけ。』
とあるため、まだ勢いが衰えていないように思う。
現役選手ならまだしも果たして・・・
A君は力尽きて先に倒れこむものの、
気合は十分だったため気合だけが形作られて
語り手に形作ったものを見せていたのかもしれない。
しかし、この話で何より一番怖いのは、
踏まれたにも関わらず、
『「やっぱ昔みたいに走れないよな~w」
ってA君が笑いながら俺に言うんだよ。』
と笑いながら言っていることだろう。
何かに目覚めてしまったのか、
それとも笑顔なだけで内心・・・なのか、
この笑顔が非常に怖いものである。