小さい頃の話
日曜の昼、両親が出かけるから留守番してろと言って出て行った
しかし近所の山にカブト虫を取りに行きたい俺は言いつけを無視して山へ
そこは薄暗くて奥の方ではよく首吊りがあるいわゆる名所なんだけど、カブトや
クワガタがよく取れる場所としても有名で、子供で怖がる奴なんかいない場所だった
急いで行ってカブト虫を取って戻れば両親が帰る前に間に合う、と思った俺は
脇目もふらずに自転車で全力疾走、山へ近づいてくるとテンションが上がってきて
角から出てきた車に気がつくのに遅れ、避けようとして派手にこけてしまった
擦りむいて痛かったがとくにひどい怪我はしていない
車も急ブレーキをかけて止まり、中から「大丈夫か!」と人が降りてきたんだが
見るとなんと両親、自分の親の車に轢かれる、というところだったのだ
親は忘れ物を取りに戻る途中だったらしい
「轢いちゃってたらシャレになんないよ、お前には生きて欲しいんだから」
と親は泣き、出かける予定はやめにしてみんなで家に帰った
【解説】
「お前『には』生きて欲しいんだから」から
両親は自殺しようとしていたのだろう。
結局は思いとどまったのだろうか。