ある日僕は学校の美術室の掃除当番だった
早く終わらせて帰ろうと思い急いでいたら
一枚の絵が大事そうに飾られているのを見つけた
その絵はとても綺麗な女の人の肖像画だったが
少し不気味で目に特徴があった
とても大きな瞳でこっちをみている気がした
なんだか怖くなり急いで掃除を終わらせ帰った
次の日学校は大騒ぎになっていた
例の美術室の絵が盗まれたのだ
最後に絵を見たということで僕は美術の先生にいろいろ聞かれた
「なるほど掃除をしてた時にはちゃんとあったんだね」
「間違いないです、あの絵は高価なものなんですか?」
「あれは『眠りに落ちた美女』といって私の知人の画家が自分の娘
の寝顔を見て描いたものなんだ、特に価値はない
最も画家も娘ももうこの世にいないけどね」
「そうなんですか・・・」
あの絵は結局見つからなかった。
不思議なことに泥棒が入った痕跡はなかったらしい。
【解説】
これは意味がわかると怖い話というよりはただの怖い話ではないだろうか。
後半で絵のタイトルが『眠りに落ちた美女』とされてるにも関わらず、「僕」が見た絵は目に特徴があり大きな瞳でこっちを見ているのである。
この時点で、この絵はいわくつきの絵である。
では、絵は誰に盗まれたのか?
登場人物は「僕」と「先生」ぐらいであるが、どちらも絵を盗んだとは考えにくい。
ということは、絵は自分で動くか消滅するかしたのだろう。
どちらにしても、意味が分かると怖い話ではない。