とある日の午前2時。
俺は世間じゃちょいと名の知れた怪盗だ。
俺は今、ある美術館に侵入している。
この美術館には数々の作品が展示されていて、
闇オークションで売れば一億はくだらないだろう。
しかし俺の目的はただ一つだ…
俺は厳重に敷かれたセキュリティーを回避して、
一つの部屋へたどり着いた。
その部屋には絵画が一つだけ展示されていた。
レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたとされる
「モナ・リザ」だ。
俺が求めていたのはこのモナ・リザだ。
価値は未知数、
あのルパン三世も盗むのを諦めたらしい。
(楽勝だぜ)
俺はそう思いながら
モナ・リザの防犯ケースを外す。
ルパン三世が諦めたってくらいだから
どんな厳重なセキュリティーがあるのかと思ったが、
余裕でケースを外す事ができた。
そして俺はモナ・リザを盗ろうとした。
「……!?」
時刻は午前8時。
俺はとある美術館で働いてる。
たくさんの有名な作品に囲まれながら仕事ができて
俺は幸せだ。
今日も俺は仕事をこなす。
まずはあの仕事からだ。
俺は一つの絵画を持って
ある部屋へとたどり着く。
その部屋には一つの絵画が展示されている。
そして俺は絵画を見て気がつく。
「今日も来たのか~?かわいそうに…」
そう言って俺は手持ちの絵画と
展示されている絵画を交換する。
「相変わらず素晴らしい作品だなこのモナ・リザは」
「さーて、次のお仕事、お仕事っと」
俺はそう言って部屋をあとにする。
紅い唇をしたモナ・リザを持って…
【解説】
『紅い唇をしたモナ・リザ』
つまり、怪盗はモナ・リザに丸ほど食べられてしまった。
怪盗が盗もうとしたモナ・リザは偽物。
しかし、ただの偽物ではなく、
深夜になるとモナ・リザを盗みに来た泥棒を
食べてしまうという恐ろしい偽物。
一般公開している時は本物を後悔し、
深夜盗まれる可能性があるときは
偽物を公開するようにしていた。
後半の語り手の最初の仕事が
本物と偽物を入れ替える作業。
『今日も来たのか~?かわいそうに…』
と言っているように、
泥棒は前半の語り手だけでなく、
他にも来ている。
そして、食べられてしまい、
かわいそうと言っている。
この偽物は恐ろしいが、
これはこれでものすごく価値が高いのではないか?
なんて思ってしまう…11