ある少女と少年が何者かに監禁された。
部屋には扉が2つあり、
壁は分厚い鉄で覆われている。
2つの扉は完全にロックされていてあかないようだ。
少女は右側、
少年は左側の扉を叩き助けを求めている。
ドンドン、ドンドン
(少女)「誰か助けてー!!」
ドンドン、(ガチャガチャ)
(少年)「ん?誰かいるのか?おーい……駄目だ返事がない」
(少女)「きゃっ!?」
壁に文字が浮かびあがっているのを見て驚いた少女は、
小さな悲鳴をあげた。
壁にはこう表示されている。
今からお前達2人にゲームをやって貰う。
~ルール~
この部屋にある2つの扉のロックを解除したと同時に、
10秒以内に1つの扉を選び部屋の中に入って貰う。
(10秒以内に部屋に入らなかった者は死亡します)
~扉の種類~
・自宅に帰す為の転送装置がある部屋の扉
・人喰いの怪人がいる部屋の扉
ではゲームスタート!!
『カチン』
扉のロックが外れたと同時に
巨大な数字の10が壁に表示され、
そのまま9、8とカウントダウンが始まった。
(少女)「え、なに?ゲーム?怪人?なんなのこれ?」
状況がさっぱり飲み込めない少女は
パニックになったがカウントダウンは止まらない。
5、4、3
(少年)「こっちだ!!早く!!」
少年はまだ混乱している少女の手を掴むと、
迷わず右側の扉へと全力で走った。
ガチャ、ギィー
扉に着いた少年は
高速でドアノブを回して扉をあけ、
少女と共に部屋の中へと飛び込むように入った。
カウントは1のところで止まった。
(少年)「いたた、大丈夫?」
(少女)「ええ、それよりここは?」
少年と少女が部屋を見渡すと………
部屋の中には、
[転送装置]と書かれている
機械のような椅子が2個置いてあった。
(少年・少女)「やったーーー」
転送装置を前に、
2人は歓喜の声をあげた。
(少女)「助けてくれて本当にありがとう。
それにしてもどうして転送装置の部屋の扉がわかったの?」
(少年)「ああ、俺が左側の扉を叩いた時、
扉の向こうで『ガチャガチャ』ってドアノブを回す音がしたんだ。
だから怪人は左側の部屋にいるって思ったんだ」
(少女)「そうだったの……
よかった、本当によかった、グスン」
(少年)「さ、転送装置へ行こう」
少年は、
喜びのあまり涙を流す少女の手をひいて
転送装置へ向かった。
転送装置の前まで行くと
壁に文字が浮かび上がってきた。
~転送装置の使い方~
・転送装置に座ります
・座った瞬間転送準備に入ります
・準備が完了しだいあなた達の自宅に転送します
~注意点~
・転送準備中に転送装置から少しでも離れた場合、
誤作動を起こして壊れてしまいます。
以上
(少年)「よし、早く転送装置に座ろう」
(少女)「うん!!」
壁に表示された説明を見た2人は転送装置に座った。
そしてまた、壁に文字が浮かび上がる。
[転送準備に入ります、転送開始まであと60:00]
(少年)「転送まで1時間もかかるのか」
(少女)「まぁいいじゃない、家に帰れるんだから」
(少年)「それもそうだな、なら暇だし何か話すか」
(少女)「フフフ、そうね」
ガチャ
ギィィィィィィ
家に帰れる喜びを噛みしめながら、
二人は楽しそうに会話を始める。
「転送開始まであと59:32]
【解説】
全ての扉のロックが外れているため、
怪人も他の部屋へ行くことができる。
そのため、怪人が
直接少年と少女の元にやってきた。
しかし、少年と少女は
逃げることもできない。
逃げてしまえば
転送装置が壊れてしまうから。
なので、このままじっとして食べられるのを待つか、
転送を諦めて人食い怪人と戦って勝ち、そこで野垂れ死ぬか、
人食い怪人と戦って食べられるか、
どれかを選ぶことになる。
どれを選んでも死ぬことになるが、
もしかしたら人食い怪人がもったいぶって
60分放置してくれるかもしれない。
でも、いつ食べられるかわからない60分に
耐えられるとも思えないが…
自分だったらどの選択肢を取るだろうか?
怪人に気づいたら飛び上がってしまい、
その拍子に転送装置から離れてしまって
転送装置に座りながらじっと待つ、という選択肢は
自然と消えそうである…
気になるのが
この二人が食べられたあと、
この怪人が転送されるということはありえるのだろうか?
もし、ありえるのだとしたら、
ここで転送装置を壊しておかないと
世の中にが害を及ぼしてしまう。
これからどういう展開になるのか
少し映画で観てみたいと思ってしまう…