俺(あぁ、なんで俺はあのとき、
ノリでババ抜きになんてやるといったのだろうか…)
俺は残り2枚になり、
必死に絶対わからないようなシャッフルをした、
ババとハートのクイーンを見つめながら思った。
事は30分前にさかのぼる。
直輝「なぁ暇潰しに罰ゲームつきのババ抜きやろうぜ!」
一同「やろうか~」
悠「でもさぁ罰ゲームつきっていったいどんな罰ゲームなんだ?」
翔馬と俺「あ~たしかに!」
高弘「死ねとかなしなぁ(笑)」
直輝「高弘~それはないな(笑)
で、みんなやるっていったからには抜けるなよ!
男に二言はなしだ!!」
一同「あ、あぁ」
みんな声を揃えて言う。
しかし罰ゲームが気になる。
俺「なぁ罰ゲームってなんだ?」
直輝「あぁそれはだな、
ここにあるハバネロで出汁をとった風呂に30分浸かることだ」
悠「バッカじゃないの!?」
悠、お前の言っていることはあってるぞ、
俺が保証する。
翔馬「直輝~お前は昔っからバカなことしか考えないな…」
たしかに。
直輝「いいだろ別に。
俺が負けたら俺が入るんだから!」
俺「要は負けなきゃいいんだろ」
高弘「で、トランプは?」
直輝「あぁここにあるぞ。
折れ目とかついてたら目印になるから一応新品な」
悠「柄は?」
直輝「フフッよくぞ聞いてくれた。
柄はだな、俺が大好きな野球選手だ。
選手が1人で仁王立ちしてんのがたまらん!
ちなみに全部この柄だ」
さすがは直輝だ。
好きな物は好きなんだな。
俺「でもさぁ、俺、ババ引いたらどうしよう…
嘘つくと耳が赤くなるしなぁ…」
翔馬「大丈夫だって。
あくまでも平静を装えばいいんだから」
なんとも優しい言葉だ。
直輝「よし、配り終えたぞ」
始まってしまった。
罰ゲームをかけたババ抜きが始まってしまった。
初めはババはなかったが
悲しいことに一週目で
ババを引いてしまった…
耳が赤くならなきゃいいが…
二週、三週とするうちに
悠が抜けた。
次に翔馬が抜けた。
そしてもう一週後、
高弘までもが抜けてしまった。
俺(あぁ、なんで俺はあのとき、
ノリでババ抜きになんてやるといったのだろうか…)
俺は残り2枚になり、
必死に絶対わからないようなシャッフルをした、
ババとハートのクイーンを見つめながら思った。
さっきからなぜか
皆がニヤニヤしている。
【解説】
トランプは選手が仁王立ちしている柄だから、上下がある。
そのため、いくらシャッフルしてもババは一目瞭然。
語り手がそのことに気づけば、
それを逆手にとることができるのだが、果たして・・・