ある夏の日に僕は
暑さからくるいらだちをまぎらわすために蟻を殺した。
すると暑さは吹っ切れたように感じた。
次の年のある夏の日、
僕は暑さからくるいらだちをまぎらわすために
また蟻を殺した。
…まだイライラする。
そして僕はカブトムシを殺した。
…ふぅ楽になったぞ。
そして去年、僕は結婚した。
その年の夏は猿を殺した。
今年の秋は妻がいない。
【解説】
今年の夏に妻を殺したから
今年の秋は妻がいない。
でも、もしかしたら、
妻に猿を殺したのがバレたり、
夏のひどいイライラがバレたりして
愛想を尽かされ離婚したのかもしれない…
ただそうなると、
年々殺すものが大きくなってきているのに
今年は何を殺したのか?となるから、
やはり妻を殺してしまったのだろう。
イライラという感情任せに妻を殺したのだろうが、
その後の感情が気になってしまう。