窓一つない薄暗い密室に、
十人の男が、鎖を繋がれ背の順に並んでいた。
俺はこの中で一番背が高いらしい。
列は、前向き、後ろ向きと交互に並んでいる。
なので二番目と三番目は向かい合い、
三番目と四番目は背中合わせに並ぶことになる。
この中に仲間外れが一人いるという。
仲間外れを見つけ当てれば、
その仲間外れは処刑され、
残りの9人は助かるそうだ。
壁にはヒントと思われる文字が書かれていた。
*その者の前には誰もいない。
振り返っても一人しかいない。*
どういうことだ?
俺は助かるために必死に考えた。
【解説】
奇数が前向き、
偶数が後ろ向き。
そのため一番後ろ(十番目)にいる語り手は
後ろ向きに立っている。
なので、主人公の前には誰もいない。
さらに、後ろは段々と小さくなっているため
9人目に隠れて他の人が見えない。
そのため、
振り返っても一人しかいないように見える。
語り手が何の仲間はずれだったのかはわからないが、
語り手自身が仲間はずれだったため、
語り手はどうあがいても殺されてしまう。