俺の趣味は、ゲームを作ること。
RPGや恋愛物も作ってみたことはあるけど、
うまく行かなかった。
最近は脱出ゲームをよく作っている。
これはおもしろい。
よく友達にやらせているが、
脱出できたのは1人もいない。
仕掛けを考え、暗号をわかりにくいところに残し、
暗号を見て仕掛けを作動させたら、
また別の仕掛けを作動させるための暗号。
こういう暗号を考えるのが大好きだった。
もちろん、どこかで間違えたらバッドエンド。
今回のはすごい。
バッドエンドを用意しなかったかわりに、
最後の仕掛けを作動させたら水が部屋に入ってくる。
水で床に書かれた暗号が浮かび上がるが、
5分以内に暗号を解いて鍵を見つけないと、
ゲームオーバー。
しかも、最後の暗号はめちゃくちゃ難しい。
今、友達が必死になって最後の暗号を考えている。
おいおい、
そんなに必死にならなくても法則性さえわかれば、
すぐに解けるのに……。
とうとう友達は暗号がわからず、
自暴自棄になって部屋中いじりだした。
そんなことしたって無駄だって。
時計を見ると、
水が入ってきてからそろそろ5分がたつ。
「5、4、3、2、1……ゲームオーバー」
この瞬間が一番面白い。
友達はすっかり沈んでしまい、
悔しそうに壁に手をついた。
今度は誰にやらせようかな。
【解説】
リアル脱出ゲーム。
しかも、脱出できなければ死んでしまう。
『この瞬間が一番面白い』
と言っているから、
人が死ぬ姿を見るのを
面白がっているのだろう。
まだ脱出できた人はいないようだが、
脱出されてしまったら
脱出されないために理不尽な問題を作りそうである。
その前に脱出した人が警察に駆け込んで
語り手が捕まるだろうか?
とりあえず、
語り手のような人には近づきたくないものである。