私の父はお小遣いがすくない。
といっても、父はお金を使わないだけだ。
パチンコもしないし、お酒ものまない。
タバコも今回の値上がりでやめた。
遊びにもいかないし。
本当に必要な時に、
必要な分しかもらわないのだ。
ある日、私が熱をだした。
布団で寝ていると、
お父さんが来た。
私の頭の頭の上にある襖から、
服をとりに来たらしい。
とくに意味もなく私は、
「なんでお金ないん?」
と、暇つぶしがてら、
ふざけて聞いてみた。
するとお父さんは、
「なんや、くれるんか?」
「いややし、やらんし」
「お前金持ちやろ、バイトしとるねんから」
「お父さん貧乏やもんな。十円すらないやろ」
そう言うと、
お父さんは襖をしめながら笑った。
ぶちぶちぶち…ぶち…
「…十円くらいあるよ?」
【解説】
お父さんが襖をしめた時に
髪の毛が引っかかって抜けてしまった。
どのくらい抜けたかと言うと
『…十円くらいあるよ?』
と言っていることから
十円ハゲになるくらい。
それにしても
お父さんが全くお金を持っていない家庭環境が恐ろしい。