僕はいつも不運だ。
事故をして
大好きなサッカーもできない足になってしまうし。
家族はみんな僕を置いて死んじゃうし。
俺と付き合った彼女はみんな行方不明になっちゃうし
いっつも見たくもないのに幽霊見ちゃうし。
とまぁこんな感じに運が悪いわけだ。
そして今日もまた不運が起きたんだよ。
今日電話が母からあって
「お父さんが死んじゃったよ！！」
僕はびっくりして
思いっきり走ってお葬式会場にいったんだ。
途中で元カノと会ったなぁやっぱり可愛いかった。
おっとこんなこと言ってる場合じゃなかった…
全く最近の若者はダメだなおいおい棺桶の上でも遊んでるぜ。
みんなびびって注意もしやしねぇ（怒）
全く泣けないお葬式だったな。
【解説】
語り手は事故でサッカーもできない足になっているのに
思いっきり走っている。
家族はすでに死んでいるはずなのに
母から電話があった。
元カノとばったり会ったが
元カノは行方不明中のはず。
語り手は幽霊を見てしまうと言っているが、
それは語り手がもう死んでしまっているから
自分と同じ幽霊が見えてしまう。
思いっきり走れているのも
幽霊になっているから。
行方不明中だった元カノも
すでに死んでしまっているのだろう。
棺桶で遊んでいる若者も
幽霊だから他の人には見えないため
そもそも注意できない。
全く泣けないお葬式だったのは
そもそも語り手とは関係ない人のお葬式だったから。
『お父さんが死んじゃったよ！！』
という母からの電話は実はただの間違い電話。
語り手は
自分が死んでいることにいつ気付くのだろうか？
