今日はお盆だというのに
休みなんかなく仕事だ。
まぁ、自分が
仕事が遅いのが悪いんだけど。
残業もあって
仕事を終えてみれば
日付も変わっていた。
夜中だしさっさと帰って
すぐに寝ようと会社を出た。
なんとか終電には乗れたけど
最寄り駅から家は
10分くらい歩かないと帰れないし
疲れが限界まできてて
歩いて帰るのは面倒なので
タクシーで帰ることにした。
この辺にタクシーなど
めったに通ることはなかったが
その日はたまたま一台だけ
止まっていたので乗車した。
普通はタクシーに乗ったときに
「どちらまで行かれますか？」
とか聞かれるはずなのに…
そんな疑問を抱く気力すらなく
はやく帰れればそれでいいと
自分の家にまで着くように伝えた。
その時も運転手は黙ったままで
そのまま車を走らせた。
5分くらい経っても
自宅に着く気配はなく
外も真っ暗で何も見えない。
眠気も限界だったので
俺は寝ることにした。
着いたら起こしてくれるだろうと。
-次の朝-
"タクシーが事故を起こし
男性1人が死亡。
タクシーの運転手は行方不明"
とニュースが流れた。
【解説】
お盆。
タクシーの運転手は
すでに死んでしまっていた幽霊で、
語り手はその幽霊に連れて行かれてしまった。
