夕方、バイトから帰宅すると
留守番電話が1件入っていたので、
すぐ再生してみた。
『もしも~し、私だよ~』
この声……
どうやら電話を掛けて来たのは、
俺の遠距離恋愛中の彼女だった。
けど、なぜ家の固定電話に……?
『本当にいないのかな~?もしも~し?』
本当に居ないんだから、
出るわけないじゃないか。
『ちぇ、せっかく驚かせようと思ったのに。
今ね?あなたの家の玄関前にいるんだ~』
おいおい、
お前の家から俺の家まで片道3時間も掛かるのに、
連絡もなしに泊まりに来たのかよ……
まったく、突拍子の無いことしやがる。
『ガチャガチャ……ギィ……』
ん……?
『あれ?な~んだ、いるじゃな……え?どちら様……?
キャ!ちょ、何……』
『バタン……ガチャ』
『ツー。16時、20分、です』
俺の足元に、彼女の携帯が落ちていることに気付いた。
語り手の家に強盗が忍び込んでいる時に訪れてしまい、
そのまま家の中に拉致されてしまった。
家の中にまだ犯人がいるのか、
それとも犯人はすでに逃げたあとで
彼女の遺体だけが残っているのか…
それは語り手が知っている…