あるマンションに住む住民、
大林さんが何者かに殺された。
今は、第一発見者の住民に聞き込みをしているところだ。
『マンションの隣の部屋の部屋から、
揉めるような会話が聞こえ、
さらには助けを求める声がしました』
『大林さんの声ですか?』
『はい。
私は、怖くてどうしようもなかったです。
でも、隣の部屋から人が出て行く音を聞きました。
なので、隣の部屋に向かいました』
『まさか、確認もせずに部屋に向かったわけじゃ…』
『いえ、そこまで無用心ではないです。
無用心に見えますか?』
『えっ!?
いえ、そう言うわけでは…』
『ならいいです。
そして、部屋に入りました。
鍵は開いていました。
中に入ると、人の足が見えて、さらに入ると、
大林さんらしき人が倒れていました。
大林さんは微かに呼吸をしていて、助かったんだと思い、
急いで救急車を呼ぼうとすると、大林さんが震え出しました。
よく見ると、大林さんの目はなくなっていました。
犯人が持ち去ったのでしょう。
目以外に外傷はなかったです。
そして、私が見えなくて、
犯人が戻って来たと勘違いして震え出したと、
私は思い、私だと言うことを告げて、救急車を呼びました。
しかし、救急車が来る数秒前に大林さんは動かなくなりました』
『もしかして、大林さんはその時に死んだと?
最初は生きていたけど…。
…貴女を責めているわけではないですよ』
『はい。
私があと少し早ければ…』
『この時に、時刻を見たりはしましたか?』
『はい。一応見ておきました。
6時19分でした』
『6時19分ですね?』
『はい』
『全ての聞き込みが終わりました。
くれぐれも、お帰りの際は気を付けて下さい。
犯人がまだ近くにいるかもしれませんから』
『はい』
その後、死因が不明の為、
大林さんの死体解剖を行った。
『先生!
死体解剖の結果が分かりました!』
『なんだ?』
『死体解剖の結果、死因は死体解剖でした!』
【解説】
大林さんは実は生きていた。
なぜ生きているのに死体解剖をしてしまったのか?
それは、目がなくて瞳孔の確認ができず、
生きていることに気が付かなかったから。
おそらく、死亡したと決めたときには
心肺停止していたものの、それがまた動き出していたのだろう。
生きたまま死体解剖されることを想像すると
ゾッとしてしまう…