街で突然男性に声を掛けられた。
相手は高校時代の同級生だ、と言っているのだが、
私は彼の顔に見覚えが無い。
しかし、彼がペラペラと話す内容は
高校の頃の私の行為と全て一致する。
私も何か話題を……と考えてふと浮かんだのは、
つい最近他界した親友のAのことだった。
Aはいつも私と一緒にいたのだから、
きっと彼も覚えているだろう。
彼の話が一段落したところで、
私は先週末にAの葬式があったことを話し始めた。
すると彼は、急に冷めた表情になり
「そうなんだ」「へぇ」などの曖昧な返事をする。
話し終わらない内に、
彼は用事があるからと別れを告げて
都会の雑踏に消えていった。
Aが亡くなったことが
それほどショックだったのだろう……
【解説】
話しかけてきた男は
語り手のストーカーだった。
語り手の情報を聞き出すためにAと接触し、
また、語り手と仲が良かったAに嫉妬をして
Aを殺した。
旧友だと偽って近づいてくるストーカーとか怖いなぁ…。