【意味怖】意味がわかると怖い話まとめ

【意味怖】意味がわかると怖い話を読んで頭の体操を!捉え方は人それぞれであり、答えは一つであるとは言えません。解説も答えではなく、一つの捉え方。あなたがどう捉えたかを教えていただけると幸いです。


【意味怖】確率

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滅多に治らない難病にかかり、
余命半年を宣告された男はなぜか笑っていた。

 

空元気ではなく、
本心から笑っているようなので
ぼくはその理由を尋ねた。

 

「なにがそんなに可笑しいんですか?」

 

すると彼は笑いながら答えた。

 

「ぼくは絶対治るからです!」

 

言い切る彼に、ぼくは重ねて聞く。

 

「言いたくはないですが、
これはほとんど治らない難病ですよ?」

 

「まあ聞いてください。
三年前、大学生の時、
ぼくは友達と十人でキャンプに出かけました。
その時食べたキノコにあたってぼく以外みんな食中毒になったんです。
でもぼくは十分の一の確率で助かりました。
次に、去年の難破事故、覚えていますか?」

 

「あー、はい。
確か乗客100人の命は絶望的だと報道されていた気が……」

 

「その時ぼくはたった一人だけ生き残ったんです」

 

「今度は百分の一ですか……なるほど!」

 

「そう。この病気にかかって治る人は1000人に1人。
千分の一です!」

 

…………。

 

結局、彼の手術は無事成功した。

 

全く奇跡というのは本当にあるもんだな、
とぼくは感心した。

 

退院の日。

 

彼の妻が迎えにきた。

 

「本当に、本当によかった……」

 

彼女は寝ている彼にすがりついて泣いた。

 

「こっちがどれだけ心配したか知らないで、
鼻水なんか垂らして呑気に寝て、もう!」

 

怒りながら、笑っていた。

 

ぼくは彼の鼻水と彼女の涙を拭った。

 

それにしても鼻水とは……
思わず苦笑する。

 

手術の成功で気が緩んで
風邪でもひいてしまったのか。

 

まあこんな難病を乗り越えた彼だ。

 

現代の医療は素晴らしいし、
この風邪が悪化して死ぬ、ということはあるまい。

 

あったとしても万に一つ……。

 

 

【解説】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分の一、百分の一、千分の一の確率で助かったが、

万に一つの確率も当たってしまい、

この男は死んでしまう。

 

低い確率を当てる

ある意味伝説の男と言えよう。

 

 

それにしても、回避したとは言え、

食中毒 → 事故 → 難病

と、幸運な人に見えつつも、

そういうのに巻き揉まれているから

不運な人だったんだろうなぁ、

なんて思ってしまう…。