ある日のこと。
高校は何かの記念日なので、
俺は友達と二人で遊ぶことになった。
小学生からの親友だ。
カラオケに行ったり、
ボーリングに行ったりすごく楽しかった。
そういや昼飯がまだだなと思い、
友人にそれを伝えた。
すると、友人はすぐ側にあった焼肉屋を指差した。
「あそこは嫌だ!」
俺は即答した。
友人は不思議そうに俺を見ている。
噂で聞いたことがある。
あそこは…
「大丈夫だって!人肉、使われてなかったから」
友人は微笑み、
俺の腕を掴むとその焼肉屋へ連れていった。
「何でわかるんだ?」
俺は諦めながら聞いた。
その質問をする瞬間に、
友人は俺を席に座らせたのだ。
友人は座りながら口を開いた。
「ん…だってさ、人肉の味しないし」
その言葉に救われた。
良かった、普通の焼肉屋だったんだ。
それから俺達は満腹になるまで食って、
それぞれ自宅に帰った。
【解説】
人肉の味を知っている友人は
人を食べたことがある。
語り手はそれに気づきそうな質問をしているのに
スルーしてしまっている。
知らぬが仏…と言いたいところであるが、
語り手はもしかしたらいずれ友人に食べられてしまうかもしれない…