「おい、金出せよ、ガキ…」
「すみません、本当にないんですよ…」
僕は今不良達にカツアゲをくらっている。
この人気のない路地裏では叫んでも意味がない。
「おい、財布だせ」
僕は恐る恐る財布を差し出した…
「ケッ、こいつマジでもってねぇ」
「やっぱガキは持ってないっすね、
他あたりましょうや」
「そうだな、オヤジ狩りでもするか」
そう言い残し
不良達は僕の財布を投げ捨て消えていった。
僕は急いで家に帰り自室に閉じこもった。
まだ胸ぐらを掴まれた感触が残る。
「ちくしょう、アイツら…」
僕は怒りと悲しみで涙を流した、
その時
ガチャ、バタン
玄関の開く音がした…
きっとお父さんだ。
お父さんに全てを話してアイツらをやっつけて貰おう。
僕は夢中で玄関に走り寄った。
そこにはボロボロにやつれたお父さんがいた。
【解説】
不良達がオヤジ狩りをした相手は
語り手のお父さんだった。
語り手としては、
「お父さんならやっつけられる!」
と信じていたのに、ボロボロになった姿を見てしまったから、
お父さんに失望してしまいそうなのが恐ろしい…。
これで親子関係が崩れなければいいのだが…。