今、雄大(仮名)という僕の友達が
クラスの中でいじめを受けている。
雄大と僕は幼稚園からずっと一緒。
部活も陸上部で一緒。
とにかくなにかと仲が良かった。
雄大は最近のいじめで
部活にも顔を出さなくなった。
雄大を助けてやれない自分に
嫌悪感を抱きながらも
僕も次第に雄大から離れつつあった。
今日こそは雄大に声をかけようと心に決め
登校したが、雄大の姿はなかった。
いつものように部活を終え
ハードルを片づけに体育倉庫へ向かう。
体育倉庫の中は薄暗く埃っぽい。
そんな中、体育倉庫に人影があった。
冬場ということであたりは暗く
はっきりと見えない。
不思議に思いながらも
僕はハードルをおくと足早に帰路についた。
翌朝。
朝練の為、早めの登校。
僕はまだ1年生だから
準備をしなくてはならない。
先輩たちが来る前に済ましてしまおうと
体育倉庫の扉を開けた。
ぱっと朝日が倉庫内を照らす。
昨日は見えなかったものまで
照らしだした。
僕は声も出せず
ただただそれを見つめるしかなかった。
【解説】
照らし出されたのは
雄大の亡骸。
昨日は暗くて影しか確認できなかったが、
それが雄大だった。
語り手には、もし昨日気付いていたら
もしくはもっと早く雄大に声をかけていたら…
なんていう後悔が一生つきまとうだろう…。