俺はある特殊能力を持っている。
それは時を止める能力。
しかも好きなだけ止められる。
最強だろ?
でもこの能力には1つだけ不具合がある。
それは時を止める能力を使うと
俺の肉体まで能力の影響を受けるということ。
つまりどっかのマンガの最強キャラみたいに
止めた時の中を悠々自適に行動することができないということさ。
少し厄介だが
俺の頭脳は活動できるので
時を止めている間は永遠に考えることができるから
たいして問題はない。
テスト終了1分前になっても
時を止めて自分の満足のいくまで熟考することができたり
バスケなどで速攻をかけられても時を止めて対策をねることができたり
通り魔にナイフで刺されそうになっても
時を止めてナイフの軌道を読んで余裕でかわすことができたりする。
十分最強だろ?
時を止めるタイミングさえ遅れなければ
俺はどんな危機も乗り越えられる。
そして俺は友達数人を連れてピクニックに向かった。
弁当こそ持っているがほとんど登山に近い山道を登っていく。
これじゃピクニックじゃなくてハイキングだろ。
そう思いながらもみんなでワイワイはしゃいで山道を登っていた。
すると突然上の方から轟音が響き渡る!
その事に驚きみんなで上を見上げると
巨大な岩が俺たち目掛けて落ちてきていた!
友達たちが悲鳴をあげる中俺は即座に時を止めた!!
ふぅ、時を止めたからにはもう大丈夫だ。
もし俺の能力がなければ
俺たち全員あの岩にペシャンコにされていただろな。
なんせあれだけ大きな岩だ。
気付いてから走って避けることは絶対不可能だからな。
さて、こんな風に突然起きたことにもちゃんと対応できるのが俺の能力。
今から対策を考えよう。
どうすれば…
どうすれば………
どうすれば………………
どうすれば…………………………
【解説】
時を止めるタイミングが遅すぎたため、
語り手は死から逃れることができない。
死から逃れることはできないと
語り手自身気づいているはずだが、
時を動かしてしまえば、語り手は死んでしまう。
だから、時を解除できず
時を止めたまま過ごすことになってしまうただろう。
絶望のまま果てしない時間を過ごすことは
想像できないほどの恐怖だろう…。