これは息子の日記です。
8月11日
夏休みに家族で寺に行った。
有名な地蔵に無敵の体になれるようにお祈りした。
別に信じてる訳じゃないが
まぁ明日隣の高校の奴らとの喧嘩があるから現担ぎだ。
8月12日
昨日の祈りのおかげか?
ノーダメージでボコボコにしてやった(笑)
夜の帰り道何か視線を感じた気がして振り向こうとしたら
上から鉢植えが落ちてきた。
俺の反射神経が無かったらぶつかってた。
8月13日
昼間ツレと遊んでたら
おかっぱの男がこっち見てヘラヘラしてたから
とりあえず殴った。
夜の帰り道線路で足を掴まれた感じがした…
何かおかしい。
8月14日
幽霊が見えるツレに
ヤバい悪霊が憑いてるなんて言われた。
帰り道視線を感じて振り向いたら
またあのおかっぱ頭がヘラヘラ笑って居やがった…
今度は立てなくなるくらいボコボコにした。
その夜花火をしてる最中に
ロケット花火が暴発して服が丸焦げになった…
8月15日
昨日あんなにボコボコにしたのに
またおかっぱが後ろに居た。
ビビってる…?俺が?
…とうとう俺は持ってたナイフで
アイツをメッタ刺しにした。
その夜交差点の真ん中に髪の長い女が立ってたから
見てたら車にひかれた。
8月16日
俺は家から出なかった。
窓から下を見ると
おかっぱが血みどろでこっちを見てた…
もう奴の顔から笑顔は消えていた…
なんでこんな事に……
このままじゃ殺される……。
俺は親父のチェンソーを持って外に出た。
【解説】
お地蔵様にお祈りをした語り手は
無敵の体を手に入れた。
それはつまり、
お地蔵様が身代わりになってくれたということ。
だから、
ノーダメージでボコボコにできた。
その身代わりとなっているお地蔵様は
語り手を見守るために
おかっぱの男になっていた。
語り手はそんなおかっぱをボコボコにしていた。
ツレが言っていた悪霊は
『髪の長い女』
であり、その女が車にひかれたのは
おかっぱの力。
その悪霊が語り手に加えているダメージを身代わりしていることと
語り手から直接受けたダメージによって
笑う力も尽きたおかっぱは
最後の力を振り絞って語り手を見守りにいくが、
おかっぱが原因だと思っていた語り手は
そのおかっぱをチェンソーで切ってしまう。
その結果、語り手は
悪霊に殺されることになるだろう。
おかっぱは語り手のために動いていたのに
ボコボコにされ、チェンソーでも切られる結果とか
悲しすぎる…。
そのようにおかっぱは貢献していたのだが、