とある町に近所でも評判の
キャシーとアンナという双子の姉妹がいた。
見た目はそっくりで見分けがつかない二人だが、
性格の明るい姉のキャシーは学校でも人気者。
一方のアンナは内気な性格だった。
そんな姉妹がある日突然、
行方不明になってしまった…。
すぐに捜索願いが出されたが、
一向に二人の所在は不明だった。
「なんてことだ!!
俺の可愛い娘を返してくれ!
警察は何をしている!
早く二人を見つけてくれ!!」
ナ「大丈夫よ、マイケル。
二人が無事であることを信じましょう…」
姉妹の父親のマイケルは喚き叫び、
興奮状態が続いた。
それを、恋人であるナタリーがなだめているという光景が繰り返される。
…
警察A「無理も無いな、元々父親1人で育てていたみたいだしな」
警察B「奥さんが数年前に出ていかれて
二人を育てるのは大変だったでしょうね…」
警察の捜索も息詰まり始めた時、
郊外にある廃墟で双子の1人が発見されたという通報が入った。
慌ててマイケルとナタリーが現場に向かった。
マ「あぁ!!キャシー!よかった!本当によかった!」
発見当初、
キャシーの顔は青ざめ、
恐怖のためか震えていた。
キャシーの発見と同時に、現場の廃墟が調べられ、
数時間後、地下からアンナと思われる無惨な姿の少女が発見された。
キ「…アンナは、自分で死んだの。
…覆面の人に「妹を殺せばお前は助けてやる」って言われて…ナイフをわたされて…。
部屋に閉じ込められたの。
私、私、混乱して…。
そしたら、「キャシーは絶対帰らなきゃ」って…」
そこで、キャシーは意識を失った。
警察は犯人を追及したが、
手がかりになるようなものもなく、
いたずらに時間だけが過ぎた。
キャシーはカウンセリングを受けながらも徐々に回復し、
元気を取り戻していった。
時おり、無口になるが、
みんなその事については事件のことに触れないようにした。
アンナの死は一応自殺とされた。
マイケルとナタリーは結婚し、
ナタリーは来年出産予定で、
キャシーは家でも明るく振る舞った。
「名前はアンナにしようよ。
早く産まれてね。
明るくて可愛いアンナ…」
【解説】
覆面の男は父親のマイケル。
男手一人で娘二人を育てるのは辛かった。
そこに恋人のナタリーができたが、
ナタリーは内気なアンナと馴染むことができなかった。
だから、
『名前はアンナにしようよ。
早く産まれてね。
明るくて可愛いアンナ…』
なんて言っている。
アンナは内気なはずなのに…。
マイケルはナタリーに好かれていないアンナが邪魔になり、
覆面をかぶって、廃墟に閉じ込め、
ナイフを渡してキャシーに渡してアンナを殺すように伝えた。
そのため、
そっくりで見分けがつかない二人なはずなのに
マイケルは残ったのはキャシーだと思い込み、
すぐにキャシーの名前を出した。
しかし、実際は
キャシーではなく、アンナであった。
『時おり、無口になるが』
とあるのは、
アンナは元々内気な性格であったため、
キャシーを演じることに疲れてしまうから。
それを周りが都合よく考えてくれている。
『アンナと思われる無惨な姿の少女が発見された』
とあるため、自殺とは思えない死に方だったのだろうと思われる。
それでも
『アンナの死は一応自殺とされた』
と"一応"自殺とされた。
無残な姿だったのは
めった刺しにしたからだろう。
キャシーはマイケルからナイフを渡され、
アンナを殺そうとしたため、
アンナはそれに逆上し、
ナイフを奪ってめった刺しに。
そして、アンナは元々キャシーに成り代わろうとしていたのか
マイケルにキャシーの名前を出されたからかはわからないが、
キャシーに成り代わった。
ナタリーは特に事件に関わっていないが、
内気なアンナを好ましく思っていなかったから
起きた事件だったのかもしれない。
そう考えると、
言葉とは恐ろしいものである。