私の住むマンションの隣の住人は
鉢植えを育てるのが趣味らしい。
ベランダの隙間から見える隣のベランダには、
たくさんの鉢植えが栽培されていた。
一つ譲ってもらう事はできないだろうか?
かく言うウチのベランダでも数種類の花を育てていたが、
また新しいものを買いたしたいと思っていたところだったのだ。
隣人とはさほど話した事はなかったが、
勇気を出してインターフォンを押した。
「はい」
出てきた男性に挨拶をし、
ベランダで育てている鉢を一つ譲ってもらえないかと話した。
すると男性は一瞬驚いた顔をしたが、
「いいですよ。良かったら見ていかれませんか?」
と、ドアを開けてくれた。
隣人というだけの男性の家に上がるのに少し抵抗はあったものの、
折角のお誘いなのでお邪魔することにした。
ベランダには同じ種類の植物だけがたくさん並んでいた。
「この植物の名前、知ってますか?」
ベランダを見ていた私に、後ろから男性の声がする。
「いえ、初めて見ました!珍しい植物なんですか?」
次の瞬間、私は頭をなにかで殴られ殺された。
【解説】
隣の住人は
大麻とかそういうものを育てていた。
そのため、それを欲しがった語り手は殺されてしまった。
植物の名前を知らなかったら殺す必要もなかったのでは?
なんて思いつつも、いつかバレた時のために殺した、ということか。
ただ、危ない植物を育てているよりも
人を殺した方が隠せない事実になるのだが…。