うちのミシンは、
実家から持ってきた旧型のやつで、
かなり音がうるさい。
で、そのミシンを夜中に使っていたら、
隣室との間の壁が、ドンドンッと叩かれた。
「うるせえぞ、死ねっ!」
ひええ。びびって、すぐにミシンを止めた。
でも、翌日、
お菓子の詰め合わせを持って謝りに行ったら、
かえって恐縮された。
「いえいえ、こちらこそ。助かりました」
【解説】
隣人はミシンのことで
『うるせえぞ、死ねっ!』
と言ったわけではなく、
殺そうとしていた相手に言っていた。
『隣室との間の壁が、ドンドンッと叩かれた』
は今にも殺されそうな人の助けを求める音だったのだろう。
ただ、その音もむなしく、
隣人が怒っているのは「ミシンの事」だと
語り手だけではなく、アパートの人たちも思ったのだろう。
そのため、隣人の殺しがばれず、
語り手は隣人に感謝された。
この場合、
殺された人は語り手と隣人、
どちらを恨むのだろうか?と思ってしまった。
基本的には殺した張本人である隣人を恨むのだろうが、
助けを求めたのに助けてくれなかった語り手の方を恨む場合もある?
当然人にもよるだろうが、
ちょっと気になってしまった…