僕は安いわりには結構いいアパートに1年前引っ越してきた。
新しい生活が始まってから3ヵ月くらいたったある日
こんなことを近くの住民から聞いた。
実はこのアパートで自殺した人がいたらしい。
そのことを聞いた僕は最悪の気分になった。
その話を聞いてから2、3週間後くらいに
隣に1人の女性が引っ越してきた。
ある日の朝、
ゴミを捨てに行った時その女性に初めて会い、
初めて挨拶をした。
その女性はなかなかの美人だったので少しテンションが上がった。
その日から結構話すようになり仲良くなった。
引っ越してきて半年がたったころからある疑問が出てきた。
それは、夜中の1時頃になると決まって一つの椅子がバタンと音を立て倒れる。
夜遅くまで何しているのかと思ったがあまり気にしないようにした。
そして一年がたとうとしたある日、
たまたま見かけた大家さんに
「僕の隣に住んでいる人、結構美人ですよねぇ」
と話すと大家さんは
「はい？最近誰もこのアパートに引っ越してきてないけど…」
と言われた。
僕は冗談言わないで下さいよぉと言ったが
大家さんは最近引っ越してきたのはあんたぐらいだよって言われた。
そして一年がたつ今日、僕は遠い町に引っ越します。
【解説】
語り手が隣に越してきたと思っていた女性が
このアパートで自殺した人で、
椅子の倒れる音は
首を吊る際に台にした椅子を倒した音だった。
語り手は女性と実際に会い、仲良くなっている。
しかも、8ヶ月くらいは関わっている期間があるようだ。
毎日自殺を繰り返している女性（幽霊）との会話は
どのようなものだったのか気になってしまう。
