時計の長針と短針が
12で重なる
只今深夜12時である
そして俺は
テレビを見ながら
ボォーっとしている最中である
明日の仕事の事とか
考えるとどうにも憂鬱だ……
働いている割には
給料もよくないし…
そのせいで
このボロアパートから
でられないでいる
壁が凄く薄いんだよな…
うるさくすると
すぐ隣部屋の人がすっ飛んでくるから
細心の注意を払わなければ………
-翌日-
会社の仕事が終わった
俺は真っ直ぐ帰路についた。
部屋に入るなり
テレビをつけ
台所へと向かい
手洗いうがいを行う
ふと、テレビから
懐かしい音楽が耳に入ってくる
俺が高校生の時に
ブレイクしたバンドだ
俺は懐かしさと
買ってきたコンビニ弁当を噛み締めながら
テレビに夢中になっていた。
………最近電気代がバカにならないからな…
今日はすぐ寝るかな……
【解説】
語り手のアパートは壁が薄くて
大きい音を出すと隣人に聞こえてしまう。
だから語り手は
深夜12時にテレビを見ていた時は、
自分に聞こえるだけの最低限の音量で見ていた。
しかし、翌日
語り手がテレビをつけた時、
台所に立っている語り手に
バンドの音楽だとわかるくらいの音量で聞こえてきている。
深夜にテレビを見ていた問には
最低限の音量で見ていたはずなので、
せいぜい「テレビの音が聞こえる」くらいで
何をやっているかまでは聞こえないはずなのだが…
つまり、深夜テレビを見ていたときよりも
音量が上がっていることになる。
音量は引き継がれるはずなのに…
つまり、語り手が仕事で留守にしている間、
何者かがテレビを見ていたことになる。
それが毎日のように続いているため、
『最近電気代がバカにならない』
という状況になっている。
その第三者は一体どこにいるのだろうか…?
やはり屋根裏か…?